北京には日本人の10倍以上、約 12~13 万人の韓国人がいると言われている。実際、北京の北東部郊外にある望京(ワンジン)には韓国人が多く住んでいるため、「北京のコリアンタウン」と呼ばれており、街に入るとたくさんのハングル語の看板が掲げられている。また「コリアンタウン」以外の北京のどこに行っても韓国人はいて、街を歩いていても北京語に混ざってハングルで会話する人たちをよく見かける。
韓国は 1997 年のアジア通貨危機で正に国家崩壊寸前の危機に瀕した。それ以来、韓国経済に見切りを付け、チャンスを求めて景気の良い中国に移住する人たちが激増したとのこと。これが日本であれば、仮に国家存亡の危機に陥ったとしても国を捨てて外国に移住しようという人はここまで多く出ないような気がするが、こうしたバイタリティというかフットワークの良さ、ちょっと悪く言うと腰の軽さは見習うべきところではある。
どうでもいいが、私は何故かよく韓国人に間違われる。一重の切れ長の目、大きめの鼻に角張った顔付きと、確かに我ながら大和民族というよりもどちらかというと大陸系の顔立ちだとは思うが、タクシーに乗ると運ちゃんに「お前、韓国人だろ?な?な?」と日本人の「に」もなく単刀直入に断言されると、いや何もそんなに力強く言わなくったっていいではないか語尾の「な?」ってのはなんなんだそんなに俺を韓国人にしたいのか韓国人だと思いたいわけかいやでもほれよく見てよおじさんやっぱりちょっと違うでしょいや全然違うでしょ俺はあの半島じゃなくて日本海の向こうの島国で生まれ育って今こうして北京で暮らしているわけだけども断固として厳然とれっきとした正真正銘日本人なのよ信じてお願い、な?な?と思うわけである。まあ最初のうちは「いや俺は日本人だ」といちいち訂正していたが、それも最近は面倒くさくなって「はいはい、アンニョンハセヨ~」などと挨拶したりするわけだが。
それはともかくとして、こうした韓国人の多さを反映してか、北京市内には韓国料理の店がたくさんある。中国の人にとっても韓国料理はごく一般的な料理として認知されているようで、私を雇用する北京の会社の同僚も韓国料理、特に焼き肉が好きでしょっちゅう食べに行くと言っていた。日本の焼き肉とはまた違う、豪快な感じが良いらしい。確かに日本の焼き肉と比べると、肉の量も多くて味付けも濃い韓国焼き肉は、中国人の味覚にマッチしているような気はする。
と、前振りが長い割に短く紹介したいのが、昨日近所の韓国料理店で食べた「太刀魚のチゲ」が以下である。韓国では食材としての太刀魚は非常にポピュラーだそうで、こうしてチゲにする以外にも焼き魚にしたりしてよく食べるそうである。このチゲも中辛の鍋に太刀魚のあっさりとした食感がほどよく合っていて美味しい。中盤からご飯をぶち込んで雑炊風にして喰ってみたが、これもまた良しであった。
しかしこの大量に浮かんだアクはどうか。仕方がないので自分で全部すくって取ったが、ちゃんとアクぐらい取らんかいと俺は言いたい。まあ細かいことは言いっこなしなのが大陸クオリティですか。