大変ご無沙汰しております。花粉症にもめげず、なんとか生きております。
すっかり更新頻度の下がった我がサイト。昨年末に、今年はもうちょっと何か書こうと宣言していたのに、それっきり二ヶ月半放置のていたらく。すっかりブログの書き方も忘れてしまったので、とりあえず無難な読書感想なぞ。
長大なカーボンナノチューブが実用化、その技術を応用した軌道エレベータが建設された近未来の 2050 年。シンガポール近くの赤道上、リンガ島には、軌道エレベータの発着港が築かれ、その周囲に巨大な宇宙産業都市が発展している。そのメガロポリスで工業デザイナ、保育士、リゾート開発会社の経営者、水上タクシードライバ、彫刻家、そして軌道エレベータのフライトアテンダントなど、様々な職業に就く日本人女性たち。若いから。女だから。日本人だから。いわれない偏見や迫り来る困難に、怯まないタフな心根とそれぞれの「技」とで立ち向かっていく彼女たちの姿を描く短編集。
男は脆い。そして女は強い。こういう説もある意味で性差別なのではとの言もあるが、昨年の震災以降、世間を見渡すと何となくこれは人類の本質かとも思えてくる。拠り所を無くして未だ呆然と佇むしかない男衆に対し、そこに早くも日常を作り始める女の姿に、実はこうして歴史は回ってきて未来もこうして進んでいくのじゃなかろうか、と思うのである。
いまから数十年後の 2050 年、はたして日本はどうなっているのか。全くもってさっぱり分からないけれども、少なくとも今よりも物理的にも精神的にも狭くなった世界に飛び出し、そこに日常を作っていくのは、やはり男よりも女なの方が先なのではないか。どう思いますかね、ご同輩の方々。
それにしても小川一水である。筆が乗っているとは、今のこの人のことを言う。現在刊行中の「天冥の標」シリーズも、日本 SF 史に(いや世界か?)残る大作になることは間違いなかろう。早く VI 巻が出ないものか。
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