胡錦涛さんが来日。なにせ中国を取り巻く諸問題が山積みのこの時期、三月の全人代が終わって新体制になった一番最初の外遊に日本を選択するあたりに、いろいろ思惑があると思われますが。
なにせ現在の中国の状態は、いろいろな意味で危険を孕んでいる。猛烈な経済発展に伴う大国化の陰に、チベットに代表される民族問題、台湾との関係、北朝鮮の宗主国としての今後の対応策、食料と水およびエネルギーの確保、ドル暴落による市場金融の停滞、GDPの伸びを上回る勢いで突き進むインフレ、大気、水、土壌の凄まじいまでの汚染、昨年来の干魃や歴史的な大降雪、大洪水による混乱、衛生状態の悪化とそれに伴う手足口病などの伝染病の蔓延、都市部と農村の格差問題、旧江沢民派との権力闘争、軍部の反乱などなど。今、思いつくままに書いただけでも内憂外患がこれだけあり、しかもそのどれもが扱いを間違うと国家の存亡にかかわるほどの破壊力を秘めている。北京オリンピックを目前にして国内外への態度は躁状態と言えるほどにはしゃいでいるけれど、どうにもカラ元気に見えるような気がする。
ともあれ、国家主席の来日である。ネットの批評を眺めてみると、結局のところ成果はパンダの貸し借り契約が成立しただけ、毒餃子もチベットも尖閣諸島もガス田も日本の常任理事国入りも、なんもかんもすっ飛ばしやがって舐めとんのかゴルァ、という論評が多い。まあ確かにその通りなのだが、しかし中国にしてみればあなた、今はそれどころじゃないんすよ旦那、というのが本心なのではないか。
そういえば今回の日中共同声明で以外だったのが、ちょっと前の中国であれば鬼の首を取ったように繰り返していた「村山談話」や「河野談話」に一切触れなかったこと。まあ「談話」の賛否はひとまず置いておくとして、少なくとも中国(の主席)としてはこの話題に触れないと日本に来た意味がないとも言えるほど重要な外交アピールポイントであり、そしてまた中国国内へ向けてのメッセージでもあったはずだ。それが今回、胡錦濤がこの決まり文句を使わなかったということは、もしかしたらすでに軍部の掌握を済ませたのかもしれないし、さらには旧江沢民派の掌握、さらにもっと言うと自分の今後の保証がつく目処が立ったのかもしれん。わかりませんけど。
ともあれ、現在の中国がのっぴきならない状態に陥っている時に、すり寄られた日本としては出来るだけ国益に繋がる条件を引き出す絶好のチャンスであった。弱ったところにつけ込んで、片手で相手の傷口に塩と辛子をすり込みつつ、もう片手にモルヒネをちらつかせるのは、交渉事としては至極まっとうなやり方である。なのに引き出したのはパンダだけ、しかもこっちが金払うの?ううむ。
先の長野での聖火リレーの際、応援に駆り出された在日中国人の方の blog を読んだり、こんな記事やこんな記事を読むと、なにやら得体の知れない薄ら寒さを感じずにはおれない。さあ皆さんも一文の役に立たない英語の勉強なんかさっさと止めて、今すぐ中国語にレッツ・トライ。中国語が出来れば入党試験もバッチリ。「日本省」誕生の朝に途方に暮れないためにも、今から始めてライバルに差をつけよう。
何を言いたいのかよく分からなくなってきたので、このへんで。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。