本日は南京へ日帰り出張。
南京までは飛行機で約二時間ほど。私を雇用する北京の会社の暗黙の了解では、北京から飛行機で二時間以内のところの場合、基本的に日帰り出張となる。飛行機で二時間以内というと、大連、ハルピン、上海、鄭州、そしてこの南京もその範囲となる。まあ確かに広大な中国の感覚で言えば、二時間で行けるところは比較的近いということになるのだが、やはりそれなりに遠いのであった。朝一番の飛行機に乗って南京まで飛び、空港から市内を移動して相手先に到着。あれこれ打ち合わせして夕方遅くに再び飛行場へ移動。飛行機に乗ることに二時間、北京空港に降り立つ頃にはすっかり夜もくれているわけである。まあそれなりに疲れるわけで。
そういえば今回の出張には、去年の夏に入社したばかりの新人も同行させた。昨年、北京の工業系大学を卒業し、ソフトウェア・エンジニアとして第一歩を踏み出し始めた若者。中国の厳しい大学生活を突破してきただけあってソフトウェアの知識はそれなりに持っているものの、実戦の最前線で活躍するにはまだまだ知識も経験も足りない。自ら勉強してもらうのはもちろんとして、こうして外部の人間と接触させて経験を積ますのも、上司たる私の役目の一つである。
で、この新人君、聞くところによると、飛行機に乗るのはこれが初めてとのこと。初の出張、しかも初めての飛行機とあって、やたらと興奮状態であった。北京空港で飛行機に乗る際、その彼に「飛行機に乗ったら、まずはスチュワーデスのおねえさんに『下駄箱はどこですか?』って聞かなきゃダメだぞ」と古典的なギャグをカマしてみたが、バカにするなという目つきで睨まれてしまった。さすがにそれぐらい知ってるか。
近年の猛烈な経済発展に伴って個人の所得もどんどん上がり、一般の人も国内国外に出かける旅行ブームが現在の中国でわき起こってはいる。しかし、それでも誰も彼もが飛行機に乗ってどこにでも出かけられるようになったわけでなく、まだまだ都市部に住む比較的裕福な人たちに限られるのが現状である。新人君のように、未だに飛行機に乗ったことがない人も、まだまだ大勢いるだろう。特に地方の農村に住む人たちにとっては、飛行機なぞ正に別世界の話。はたしてこの経済発展がまだまだ続いて、そうした人たちも飛行機に乗れる日がくるのだろうか。北京から南京に飛ぶ高度一万 m の高みから、眼下に果てしなく広がる田畑を見て、ちょっと思ってみたり。
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