国土の広い中国ではケーブルテレビが発達しており、都市部を中心に加入者は相当数にのぼるらしい。北京で暮らす我が家のマンションにもケーブルテレビが引き込まれており、国営放送である中央電視台(CCTV)や北京のローカルテレビ局の北京電視台(BTV)をはじめとして、湖南、湖北、広東、広州、深セン、福建、四川、大連、内モンゴル、台湾など、全国各省、直轄都市の衛星チャンネルを見ることができる。
最初はそもそも言葉が解らず、何が何やらわからなかった中国のテレビだが、慣れてくると各チャンネルに特色があり、日本ではなかなか見ることが出来ない内容が興味をそそる。たとえば CCTV11 はこれぞ正に中国ならではという感じの京劇専門チャネルで、一日中様々な演目を放送している。CCTV4 は全編英語の放送で、たまに外国人向けの中国語講座があって、意外に役に立つ時もある。また BTV には子供向け専門のチャネルがあって、中国ローカルのアニメや人形劇などを放送しているが、ときおり「頭文字(イニシャル)D」や「クレヨンしんちゃん」など日本のアニメの吹き替え版もかかることがある。見知っているキャラクタがバリバリの中国語を淀みなく喋る姿は原作を知っているぶん妙な違和感を覚えるわけだが、中国語の勉強にもなるし、これはこれでそこそこ楽しめる。そういえば最近「中華一番」をやっているのを見たが、清朝時代の中国を舞台にした日本原作のアニメを中国語吹き替えで見るというのもなかなか味わい深いものがある。
また、地方の省のチャンネルにもそれぞれの地方色が豊かで、これもまた見ていて楽しい。たとえばチベットのチャンネルはチベット語、内モンゴルではモンゴル語のニュースがある。この手の番組の場合、たいていは画面下に普通話のテロップが流れるのだが、さすがは地方局というか、テロップも全て現地の文字。なのでキャスターの言っていることも書いてある文字もさっぱりわからない。中国のその広大さと、多くの異民族が暮らす多民族国家であることを思い知らされる。
その他、テレビの王道であるドラマも多種多様で、若者向けの恋愛ものからシリアスもの、アメリカのホームコメディ風のものから日本のどこかで見たような刑事ものなど、なかなか面白い。最近は学園コメディものが流行っているのか、いろいろな局でこの手のドラマをよく見かけるが、どの番組も出演者の高校生(だと思われる)の姿格好がほぼすべて「ごくせん」風なのが微笑ましい。中国の人は日本のドラマって大好きで(海賊版で)DVD を入手してよく見ているらしいから、もしかしたらその影響(パクリとも言う)がこういうところに出てきているのかもしれないが、中国の高校生は学ランなぞ着ないと思うがどうか。
こうした中国国内のテレビ番組以外にも、私が住んでいるマンションは外国人比率が高いためか、CNN をはじめ英国 BBC、アメリカのニュースチャネル、スペイン、イタリア、韓国の放送など、世界各国のテレビ放送も配信されている。ちなみに日本のテレビは NHK ワールドプレミアムのみ。日本人としては少々寂しい環境だが、元々日本にいた頃も地上波はほとんど見ていなかったし、いくつかの見たい番組は日本の友人が DVD に落として定期的に送ってくれているので(いつもお世話になっております>茨城方面)、さほど不便は感じていない。たださすがに NHK を見る割合は自然と高くなるので、現在は NHK の番組について異常に詳しい私である。受信料は払ってませんけど。
そういえば最近、アメリカのスポーツ専門チャネルの ESPN が受信されるようになった。おお、これで WRC がテレビで見られるか、と喜んでいたが、調べてみると中国向けには WRC 番組は配信されないらしい orz <はじめて使った やっぱり需要がないのですかねえ。