blog に書くのをすっかり忘れていたが、先週末、突然北京ダックを喰いたくなったのだった。喰いたくなったら早速行ってみるのが吉。ということで、前から行ってみようと思っていた前門の「利群カオ(火へんに考)鴨店」へ。
前門大街から道を一本東向きに入ると、昔ながらの古い街並みが続く。しかしこのあたりは再開発中のまっただ中で、どこもかしこも建物を壊して更地にしつつある。
二階の造形がいい感じの商店。この店も壊されることになるのだろうか。
いきなりトラクターが出現。こんなに道が狭いとすれ違いなんてできません。
しばらく歩くと、ようやく目的の「利群カオ鴨店」を発見。小さな入り口で、ボケーッと歩いていると見過ごしそうである。
店に入るといきなり目に飛び込んでくるのが鴨を焼いている調理場。赤々と燃える釜の中で、ずらりと鴨が焼かれているところはなかなか壮観。
店はいわゆる「四合院」という作りで、建物が「口」の形になっている。どうせなら明るいところで食べようと、「口」の字の真ん中にある席を取った。店に入った時間が昼時ちょっと前だったからか店内はまだ空いていたが、人気店だけあって、夜や週末は予約をしないと入れないらしい。
席のすぐ横にあったケースの中では、丸々と肥え太った鴨さんたちが乾燥中だった。こうして見るとなかなかエグい図だが、北京ダックの店の中では美味しそうなダックにしか見えないのが不思議だ。
そして登場したのがこのダックである。艶々と飴色に光る皮と、適度にしまった白い身のコントラストがいかにも美味そう。ちなみに注文したのは丸一羽で、これと同じ皿がもう一つある。二人で全部喰うには結構気合いがいる。
そして喰うのである。皮の上にダックを数切れと甜麺醤(甘味噌)、ネギ、キュウリを適当にのせ、包んで喰らう。適度に脂の落ちた肉は脂っぽさはほとんどなく肉の味がしっかり分かる。それでいてぱさつき感は全くなく、一口噛みしめるごとに肉汁がジュワっとあふれ出てくる。またレンガの釜で焼かれるためか、どことなく燻製のような木の香りが口一杯に広がる。いつも行く全聚徳のダックも美味いが、こちらの方が脂身が少なめで、いくら食べても飽きが来ない感じだ。いやー、これは美味い。至福というのはこういうものを喰った時に言うセリフなんですかね。ちなみにダック一羽とその他数品、ビールも飲んで、しめて 148 元(約 2,000 円)也。
ということで大変美味しい北京ダックであった。是非また行きたいわけだが、願わくば、再開発の波に飲まれて店自体が無くならないことを祈る。