2005 年の WRC 第三戦は、唯一の北米大陸でのイベントであるコロナ・ラリー・メキシコ。
結果は、ペター・ソルベルグ(スバル)が三日間通しての首位を守りきり優勝。これで前戦スウェディッシュに続いて今季二勝目。まあ今回はライバル達の相次ぐトラブルやリタイヤでなんとなく楽勝モードなレース展開だったが、それでもライバルのスプリット・タイムを横目で見ながらアタックすべきところはきっちりタイムを出し、引く時は慎重なドライビングに徹するあたりはお見事だった。かつての「常に全開」野郎は、数々の苦い経験を経て堂々たる王者の戦い方を身につけたわけである。マシンの戦闘力もかなり向上したようだし、メンタル面でも成長した今のソルベルグは本当に強い。今年はこのまま独走もありえるかも。
二位にはマーカス・グロンホルム(プジョー)。今回のラリーでは終始ブレーキのトラブルに悩まされ続けたようで、SS が終わるたびに自分でブレーキパッドを交換していたとか。あの苦虫を噛みつぶしたような表情で、手を真っ黒にしながらパッドを交換しているグロンホルムの姿が目に浮かぶようである。三位には昨年このラリーの勝者だったマルコ・マルティン(プジョー)。しかしこの人ってどうにも地味な印象なのはどういうわけか。たまにとんでもない速さでファーステスト・タイムを叩き出すことはあるし、今回だって終わってみれば表彰台なのでそれなりに速さも安定性もあるわけなんだが、なぜか印象が薄い。顔は一度見たら忘れないのに。
それにしても今回のラリーで特筆すべきはセバスチャン・ロウブ(シトロエン)の猛チャージだろう。ラリー初日、それも二本目の SS2 でいきなりマシンを岩にヒットし、ホイールとサスペンションを壊してトップから 4 分半遅れの 14 位にまで後退。しかしそこからの反撃は凄まじかった。マシンを修復した二日目以降は猛烈にペースを上げ、終わってみれば 4 位にまで上り詰めた。特に圧巻だったのが最終日の二本の SS で、とうてい届かないと思われたハリ・ロバンペラ(三菱)もトニ・ガルデマイスター(フォード)も力でねじ伏せたといった案配。最近のロウブは冷静なペースコントロールで抑えた走りばかりが目立っていたが、ブチ切れた時のマキシマム・アタックがこれほど凄いとは。やはりとんでもなく速いのだこの男は。
三菱勢はロウブにかわされたロバンペラが五位、ハンドリングとサスペンションのセッティングが今一つはまらなかったジル・パニッツィがなんとか八位フィニッシュして、貴重なマニファクチャラーズ・ポイントを揃って獲得。まだマシンの熟成が完璧というわけではないようで、比較的抑えた走りをしているとはいえ、これで三戦連続で全ての出走者が完走しているのは三菱のみ。マシンの安定性、耐久性には相当信頼がおけるようになってきたようだし、これでさらに完成度が上がれば優勝争いに絡むのも夢ではない。今シーズンに一度ぐらいは勝ってもらいたいものだが、どうか。
次戦は四月、ニュージーランド・ラリー。
参考URL:
三菱 WRC
SUBARU MOTOR SPORTS
World Rally Championship Official
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。