年末に発生したスマトラ沖の地震は、各所に甚大な被害をもたらした。震度 7 の揺れや波高 10m の津波が実際にはいかほどなのか想像することすら困難だが、徐々に明らかになるその被害の全貌にはただ絶句するしかない。
そのスマトラ島沖地震の影響で地球の自転が少し速くなって一日の長さが 2.68 マイクロ秒短くなり、地軸もおよそ 2.5cm ずれたとの予測を NASA が正式に発表した。この話は昨年末にもどこかで見かけた気がするが、たしかそのときは NASA の JPL の研究者による予測として紹介されてだけで、NASA の正式な発表ではなかったような気がする。NASA のニュースリリースを読むと自転が速くなったのは、地震を発生させた原因であるプレートの動きにより、巨大な質量を持つ岩盤が一気に沈降したため、地球の扁平率が 100 億分の 1 ほど小さくなった(球に近くなった)ことによるとのこと。これはフィギュア・スケートの選手が腕を引き寄せることでスピンを加速させるのと同じ原理だと説明されている。当たり前だが、地震によって地球の自転になんらかの加速がついたというわけではない。
それにしてもこういうニュースを見るにつけ、この地震は全地球的な影響を与えるほどの凄まじいエネルギーだったことがうかがえる。この地球の持つ巨大なポテンシャルが、こうしてエネルギーとしてひとたび放出されれば、人間や人間の築いた文明など一瞬で崩壊してしまうほどあまりにちっぽけで儚いものである、と改めて思わずにはいられない。地球に比すれば人間なぞ、かくもか弱き存在である。
しかし我々には知の力がある。たとえ制御することは叶わなくとも、その力を持って前兆を完全に予知、あるいは周到な防御策を構築し、こうした災害を未然に防ぐことが出来る日が必ず来ることを私は信じたい。そしてその日まで、こうして起こってしまったことを全て見届け、心に刻むことが残された者の使命である。
■ NASA Details Earthquake Affects on the Earth(NASA NEWS)
■ 地震影響で地球変形、1日の長さが短縮 NASA推計(asahi.com)
■ 地球の自転: スマトラ沖地震でわずかに速まる(MSN-Mainichi INTERACTIVE)