世界ラリー選手権(WRC)第三戦のラリーメキシコ(SS394.43km/リエゾン646.24km/計1040.67km)が、3/12~14 にメキシコ・レオン周辺で開催。
九月に北海道で開催されるラリー・ジャパンと同じく、今年から WRC に昇格したこのラリーは、コースはグラベル(未舗装路)、標高2000m以上の高地で柔らかい赤土と硬い灰色の路面の二種類あるというコンディションで、新ルールによるタイヤ数やサービスの制限でマシンの耐久性が激しく試されることになった。
で、結果。三日間を手堅く走りきったフォードのマルコ・マルティンが優勝、2 位にも同じくフォードのフランソワ・デュバルが入り、フォード久々の 1-2 フィニッシュ。ライバルたちが様々なトラブルで次々と脱落していくなか、ルーズ・サーフェスでのフォーカスのポテンシャルの高さが際立つ結果となった。総合 3 位にはシトロエンのカルロス・サインツ。一時は首位のマルティンに十数秒差まで迫る追い上げを見せたが、最終日の SS13 で惜しくもスピン。それでもきっちり生き残ってしかも表彰台に上がってしまうあたりは、さすが燻し銀である。
ところで表彰台に上るサインツの左腕には、黒いリボンが結ばれていた。サインツはスペイン出身。先日、祖国のマドリッドで起きた列車爆発テロに対する追悼の意が込められた喪章とのこと。スペインの国民的英雄は、心優しきエル・マタドールでもある。
それにしてもなんとも残念だったのがスバルのペター・ソルベルグ。初日競技終了後のタイムコントロール前でマシントラブルが発生し、しかも周りにいた観客や報道関係者が車を押すのを手伝ってしまったというアクシデントで 5 分の大ペナルティをくらってしまった。せっかく初日終了時点でトップタイムをたたき出していたのに、あまりに辛すぎる仕打ち。しかし腐ることなく二日目以降も果敢にアタックし、終わってみれば全15SS 中 9 ヶ所でベストタイムを記録するという、正に鬼神の如き全開大激走で堂々の 4 位入賞である。ペター凄すぎ。昔からツボにはまると猛烈な速さを見せるドライバーだったが(そのぶんムラッ気があるのだけど)、異常とも言えるこの速さはなんなんだ。勝負事にタラレバは禁物だが、くだらないペナルティがなければブッちぎりで優勝だったのだがなあ。
ちなみに今シーズンから WRC に復帰した三菱勢は、セカンド・ドライバーのジャンルイジ・ガリが初日にブレーキトラブルでリタイアしたものの、エースのジル・パニッツィは数々のトラブルをなんとかはねのけて一応ポイント圏内の総合 8 位で完走と、とりあえずは結果を残した。とは言えワークス最下位はともかくとして、ヒュンダイ・アクセント WRC に乗ったプライベート出場のユッシ・バリマキにすら負けてしまう始末。まあまだまだマシンが熟成にはほど遠い状態で、とりあえず完走するだけメッケモンなのかもしれないが、せめてもうちょっと頑張ってはくれまいか。ううむ、三菱復活の日は、はたしてやってくるんですかね。長い目で生暖かく見守りたい。
次戦は舞台を南半球に移してのニュージーランド・ラリー。グラベルイベントはまだまだ続く。
参考URL:
三菱 WRC
SUBARU MOTOR SPORTS
World Rally Championship Official