天気予報は見事に外れ、結局雪はほとんど降らず。しかし寒い。北京には負けるが。
そういえば北京から帰ってくる飛行機で「ファインディング・ニモ」を見た。面白いという前評判を聞いていたとはいえ、今回の主人公キャラクタには今ひとつ魅力を感じていなかったし、しかも吹き替え版とあって全然期待しないで見たのだが、逆の意味で期待を裏切られた。
基本的ストーリーは太平洋を舞台にしたありがちな冒険ものなのだけど、小さな水槽の中さえも一つの大きな世界へと変えてしまう演出力と、小さな熱帯魚を主人公に据えながら、美しい珊瑚礁、光の届かない深海、激しい海流、果ては大空までもを冒険の舞台へと変えてしまう、この構成力。そして息をもつかぬハイテンポなストーリー展開にぐいぐい引き込まれつつ、ベタな親子愛モノとわかっているのに、いつの間にか滂沱が頬を濡らすのである。いやもう、完璧にやられました。
また、クマノミのお父さんの声を吹き替えていた木梨憲武が非常に良かったし、相棒のナンヨウハギの声を当てた室井滋のおとぼけ振りはさすがと思わせる。今まで吹き替え版はどうにも見る気がしなかったが、これぐらい出来が素晴らしければ下手な字幕版を見るよりよっぽどいい。芸達者な人は、たとえ声だけの演技でも魅力的なのだなあ。
ところでこの「ニモ」のおかげでクマノミが品薄になり、産地の珊瑚礁の海では乱獲されているらしい。 どうしてあの映画を見て、自分の家の水槽でクマノミを泳がせてみたいと思いますかね。動物に癒して貰わないと普通に生きることもできないのだろうか。かくも人間とは弱く、能天気で自分勝手な生き物だ。
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