「はやぶさ」、サンプルカプセル放出から大気圏再突入、そしてカプセルの回収に成功。素晴らしいじゃありませんか。
なんでもカプセルが落下した地点は、風で少し流されたものの、当初予定した地点からの誤差が 1km しかなかったそうである。第二宇宙速度を超える秒速 12km(時速だと 43,200km)という猛スピードの物体、それも自分では方向も速度も制御出来ないただの直径 40cm のカプセルを 1km の誤差で落下させるなんて、いったいどんな誘導技術なんだか。凄すぎる、というよりもはや神業としか思えない。
それにしても昨日の一連のトピックスの中で、最も感動したのはこの写真。
「はやぶさ」に最後に生まれ故郷である地球の姿を見せてあげたいと、サンプルカプセルを放出後にどうにか姿勢を 180° 回転。大気圏に再突入する約 50 分前に撮影した数枚の写真の中、その最後の一枚にだけ奇跡的に地球が写っていたという。このエピソードを元にこんなイラストを書いた方もいる。こういうのは本当に困る。おじさん、最近涙腺が弱いんだから。
ところで「はやぶさ」内部の制御システムは、CPU に日立製(正確にはルネサスエレクトロニクス)の SH-3(SH7708)、OS には日本製の組込機器向けリアルタイム OS である uITRON が採用されているとのこと。その他の主要部分にも多くの日本製部品が使われているそうで、正に日本産テクノロジの総力を結集といった案配か。
ちなみに私がここ十年ほどの間に開発を担当した製品の CPU は、全て「はやぶさ」と同じ SH-3 シリーズを使っている。そういう意味でも「はやぶさ」には妙な親近感をおぼえてしまうのだけど、SH-3 は割り込み応答が若干遅いなど(使い方の問題、じゃないっすよね > ルネサスの中の人)あれこれいろいろあるが、コストパフォーマンスに優れ、アーキテクチャ的にも素直で良くできた CPU だと思う。最近「組込系」と呼ばれる業界では、CPU に英国発の ARM 系、OS には組込 LINUX や Android を使うことがトレンドになりつつあるようだが、日本人が作る日本の製品なんだからシステムの心臓部の CPU や OS ぐらいは日本のものを使おうじゃんか、と私なんかは思うのだが。どうですかね、日本の組込系システム設計屋のご同輩。
いやしかし本当に良いものを見せてもらった。同じ CPU を使ってると喜んでるだけじゃなくて、俺ももっと頑張らんといかんよなあ。