いよいよ開幕した北京オリンピック。当初の予定ではチケットが手に入った 13 日の柔道だけを観戦するはずだったのだが、昨日、某所より体操の男子団体予選のチケットを回してもらうことになった。ありがたやありがたや。ということで会場である国家体育館へ行ってきた。
これが手に入った、体操男子団体の予選一組と二組のチケット。予選二組には日本チームも出場するので、いやが上にも期待が高まる。
試合が行われるのは「国家体育館」。オリンピックのメインスタジアムである所謂「鳥の巣」と同じオリンピック公園内にある。我が家からタクシーで行っても(交通規制をしていて道路が空いているので)それほど時間はかからないと思うが、せっかくなので地下鉄で行くことにした。ちなみにオリンピック期間中はチケットが あれば、バス、地下鉄などの公共交通機関は全て無料で乗ることが出来る。
自宅近所の地下鉄の切符売り場でチケットを見せて乗車カードをもらい、10 号線に乗って「北土城」で一旦下車。ここから通称「オリンピック線」に乗り換える。しかし通常なら地下鉄駅の構内で相互に連絡されているので乗り換え可能なのだが、なぜか一度地上に出され、炎天下を人の流れに従って歩く。
なんだよ、どうやって地下鉄に乗るのよ、と思う間もなく前方に大きなテントがあった。オリンピック線に乗る前に、ここでチェックが入るらしい。
まずはチケットの真贋チェック。噂ではチケットの偽物も少なからず出回っているらしいが、当然我々のチケットは正規品なので青ランプ点灯。その後手荷物の X 線検査と、空港にあるものと同じような金属探知機によるボディチェック。ここで刃物などはもちろん、ペットボトルやライターなど怪しい持ち物は全て没収される。そういえばマッチも没収対象品だったと思うが、私の手荷物の中に入っていたマッチは素通りしてしまった。厳しいんだかザルなんだか大変気になる検査を無事通り過ぎ、地下鉄オリンピック線に乗っていよいよオリンピック公園へ。
「奥林匹克公園」で降りて出口を出ると、そこは広大なオリンピック公園である。噂には聞いていたが、とにかくやたらと広い。というか広すぎて端から端までが霞んでよくわからない。とりあえず案内板にしたがい歩くこと数分。会場である国家体育館に到着。入り口でまたボディチェックかと思ったら、チケットのチェックだけであとは特に何も無し。まあオリンピック公園に入るまでに検査をやっているからここでは省略しているのだと思うが、若干の不安が残る。
12 時から始まった団体予選一組目は、アメリカ、イタリア、スペイン、および各国混合チームが 3 チームの計 6 チームで、平行棒、鉄棒、床、鞍馬、吊り輪、跳馬の 6 種目を順繰りに回っていく。我々の席は正面に平行棒のある二階席最前列。素晴らしい。正に目の前で平行棒をやっている感じである。
予選だからなのか中国チームが出ていないからなのか、二階席には若干空席があったものの、値段の安い(と思われる)三階席はほぼ満席。中国チームはいないけどとりあえず振っとけ、という感じで中国国旗を激しく振りまくる中国人観戦者が見守る中、予選一組目はアメリカチームが一位という成績で終了。
次の予選二組目の開始まで二時間ほどあったので、オリンピック公園をふらついてみる。まずはやはりこれだろう、ということで「鳥の巣」へ。
でかい。とにかくでかい。アホみたいにでかい。よくもまあこんなもんを作ったもんだと感心する。というか、オリンピックが終わったら使い道があるのか?と余計な心配をしたくなる。
そしてこちらは水泳競技が行われる「北京国家水泳センター」、通称「水立方」。水泡が青く浮かぶところをイメージして作られたそうだが、こうしてみると外壁のデコボコがなんとも悪の秘密基地っぽい。側面がバコっと開いて謎の巨大メカとかが飛び出してきそうな雰囲気である。夜になって青く発光すると綺麗なのかもしれんが。
時間が来たので再び国家体育館に入場。予選二組目は、中国、ロシア、フランス、カナダ、各国混合チーム、そして日本という組み合わせ。
今回も正面に平行棒がある席である。いきなり日本チームは平行棒から演技が始まる。いやしかし世界でも最高峰レベルの体操選手の体つきはどうか。腕は木の幹のように太く、首から背中にかけての筋肉の盛り上がり方は半端ではない。
今回の予選二組目は予選一組目よりも明らかに観客数が多い。それはやはり中国チームが出場するからである。会場中は中国国旗である「五星紅旗」を手にした中国人観戦者で真っ赤に染まっている。そして当然ながら中国選手の動作一つ一つに大歓声が上がり、「加油!加油!」の大合唱。うぬぬ、日本も負けてなるものか、と頑張って拍手をしたり声援を飛ばすが、いかんせん数では圧倒的不利。
しかしそんな圧倒的多数の中国人観戦者だが、他国の選手が良い演技をすればちゃんとそれなりに拍手が起こるし、「好(いいぞ)!」と声も上げる。日本チームにも同様で、サッカーなどで見られたというブーイングの類は一切無し。序盤は日本チームが高得点を連発していたこともあって、「日本って体操強いんだな」とか「(日本人選手を指して)やるじゃんか、あの選手」などと話しているのが聞こえてきた。
しかし結果は、前半の平行棒、鉄棒は良かったものの、後半種目の鞍馬、跳馬で精彩を欠き、総合で予選二位となった。特に鞍馬での失敗、それもスペシャリストである鹿島選手のミスが大きい。それでもとりあえず予選は突破して見事決勝進出であり、また決勝では予選の結果は関係なくその場での一発勝負となるので、気持ちを入れ替えて頑張ってほしいところ。是非とも二大会連続金メダルの偉業を達成してほしい。
それにしても今大会で日本の最大のライバルである中国チーム。彼らの最後の演技は鉄棒だったのだが、明らかに手を抜いていた。それまでの得点でも予選突破は確実だったので、恐らくは冒険しないように難易度を下げたのと、また決勝まで手の内を見せないようにするための作戦だったと思われるが、それでも二位の日本に大差をつけてブッちぎりで予選突破である。決勝ではもちろん全開で飛ばしてくるはずで、そうなると日本の連覇はかなり苦しいのかも、と思える。
以上、思いもかけずに開幕二日目にしてオリンピック生観戦であった。
あとは今のところ 13 日の柔道男子 90kg 級と女子 70kg 級。両方とも日本人選手が出場し、また揃ってメダル候補だそうである。今回は急だったので何の応援グッズも用意できなかったが、次回はせめて日本国旗の小旗ぐらいは持って行きたいところだ。いや本当は小旗などとケチくさいことを言わず、超でかい日の丸を周りの中国人に大顰蹙を買うぐらいブンブン振り回したい。北京のどこかに売ってないものか。建国門の日本大使館で即売所とか開設してないだろうか。あるわけないっすか。
ということで、この blog で以前「オリンピックなんて面倒くさいので早く終わってほしい」とかほざいていた私でありますが、こうしてそれなりに楽しんでおりますです。
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