すでに先週末のことだが、一応備忘録として。
2007 年 WRC 第 14 戦は、ことしで四回目の開催となるラリージャパン。ラリー前はドライバーズポイントランキングでわずか 4 ポイント差の熾烈な争いを繰り広げているマーカス・グロンホルム(フォード)とセバスチャン・ローブ(シトロエン)の一騎打ちになると大方の予想であった。しかし今回のラリージャパンは波乱に次ぐ波乱が待っていた。
まずはラリー開始早々のレグ 1(一日目)、SS4 陸別でグロンホルムがクラッシュ。なんとかサービスまでたどり着くものの、ボディだけでなくロールケージにも損傷があることが判明し、安全性に問題ありとの規定により翌日の再走も不可となる完全リタイヤ。早くも姿を消すことになった。せっかくの得意のグラベル(未舗装路)、しかも一昨年は優勝もしているジャパンだったのに、いきなりリタイヤとは。天候不順で道路状況はかなり悪かったそうだが、それにしたってもったいない。
グロンホルムのリタイヤにより一気に楽になったはずのローブ。しかしそのローブもレグ 2 の SS13 でコースアウトを喫し、まさかのリタイアとなってしまった。なんでも、コ・ドライバーのダニエル・エレナがペースノートの読み上げを間違え、コーナーのターンインに失敗してクラッシュとのこと。たしかエレナ氏、いつだったかのラリーでもノートを間違えたり、燃料の残量計算を間違えて途中でガス欠 → リタイヤなんてことも過去にあったと記憶している。まあ世界最高峰のコドラも人間である。そりゃ、たまには間違いも犯すのも仕方ないが、何もこんな時に、という気がしないでもない。
グロンホルムとローブのトップ二人だけでなく、今回のラリーはさらなるリタイヤの続出で大荒れ状態となった。スバルのペター・ソルベルグも初日 SS5 からSS6へと向うリエゾン区間でギアトラブルが発生。SS アタックは不可能となり、あえなくリタイアの憂き目に。また同僚のクリス・アトキンソンも SS6 でクラッシュ。車両のダメージが大きく、こちらは完全にリタイアとなってしまう。ちなみにスバルはサードシートのチェビー・ポンスもレグ 2 の SS12 でフロントサスペンションが破損し低速コーナーで横滑り、地面のくぼみにはまり、脱出することが出来ずにこれまたリタイヤ。せっかくのスバルのホームイベントなのに、いいところが一つもなく全滅とはなあ。まあ今のスバルじゃ仕方なしか。
ということで、上位陣がことごとくリタイヤし、もう何がなんだかぐだぐだとなったラリーを制したのは、ミッコ・ヒルボネン(フォード)。エースのグロンホルムがリタイヤし、上位完走が絶対命題となったプレッシャーをはねのけ、終始安定したタイムを刻んだのは見事。来年はグロンホルムが引退してフォードのエースドライバーの座につくことはほぼ決定だが、今年の実績であれば十分その重責も全うできるのでは。
以下、二位にはダニエル・ソルド(シトロエン)、三位はヘニング・ソルベルグ(ストバート・フォード)。四位にはマシュー・ウィルソン(フォード)。ミッコはともかくとして、まさかこの三人がこれほど上位でフィニッシュするとは誰も予想しなかったのではないか。ラリーとは最後まで走りきってナンボの競技であり、いくら瞬間的に速くてもリタイヤすれば何の意味もない。上位陣がことごとく去り、結果的にセカンドグループのドライバーが勝ってしまうということは過去にも何度もあったが、ここまで「誰もいなくなった」ラリーは近年珍しい。まあこうした意外性もまたラリーの面白いところである。しかしマシューが四位て。棚ぼたとは正にこのことですなあ。
しかしグロンホルムとローブが揃ってノーポイントで終わったことで、今年のドライバーズタイトル争いは残り二戦にもちこされることになった。残るラウンドはアイルランドと最終戦のグレートブリテン。ターマック(舗装路)のアイルランドはローブが絶対有利だし、グラベルのグレートブリテンはグロンホルムの得意とするところ。両者ともに絶対にミスをするわけにはいかず、なおかつ全力で勝ちに行かなければタイトルを掴むことはできないだろう。はたして最後にはどちらが勝っているのか。今年の年末は非常に面白いことになりそうである。
参考 リンク:
・ラリー・ジャパン公式サイト
・スバル WRC オフィシャル
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