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米国東海岸出身、暗黒プログレッシヴ・メタル・バンド DREAM THEATER の 2 年振りとなるスタジオ 9 作目。
メンバによる「これまでの DREAM THEATER の音楽を総括・俯瞰したような作風だ」との言葉に、それってもしかして焦点が絞り切れてないのか単なる焼き直しってことでは、と捻くれ気味の不安をおぼえつつ、恐る恐る聴いてみる。するとオープニングを飾る #1 の冒頭部分でいきなり超絶テクニカル・アンサンブルが炸裂。なんだよ、やっぱりスゲエじゃないの、と次々に繰り出される超絶技巧とスリリングな展開に心躍りつつ安堵する。
しかし聴き進めていくと、なにやら妙な引っかかりを感じずにはいられないのだった。神業のような超絶技巧はあくまでも楽曲の一部であり、その超絶技巧と別の超絶技巧がタペストリーのように折り重なりつつ、技巧が旋律を呼び、また旋律が技巧を呼ぶという重層的な構築美がこのバンドの最大の魅力だったと思う。しかし今作ではそれぞれの超絶技巧に完膚無きまでに悶絶させられるものの、それらがあくまでも「点」であり、重奏も複奏も連続もしていかないのである。この手のテクニカル系バンドとして、出来ればやらない方がいい一つの手法「超絶技巧のための超絶技巧」に、もしかして DREAM THEATER も陥ってしまったのだろうか。
それでも前述のオープニング・チューンや、ネオ・クラシカル風のメロウな美旋律が素晴らしい #2、前々作 "Train of Thought" に収録されていた "This Dying Soul" を伏線とした陰鬱プログレッシヴの #5 あたりはかなり気に入っているのだけど。
とは言え、どこまでも限りなく奥深いのが DREAM THEATER の音楽である。前作 "Octavarium" だって最初に聴いた時は全くピンと来なかったが、聴き続けるうちにその「円環」をコンセプトとした楽曲群にすっかり魅せられて、いまやをすっかりお気に入りである。本作もしばらくすれば、きっと全然別の感想を抱くに違いない。というか、そうであってほしいわけだが。
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