北京の夏の風物詩といえばいろいろあるが、やはりその筆頭は西瓜であろう。すでに連日 30℃ を超える気温が続き、すっかりというか、もう完全に夏景色となっている北京では、市場にスーパー、あるいは路上の即席露店など、街中の至るところで西瓜が売られている。
北京の夏は大変厳しい。今の時分ではせいぜい 30℃ ちょっとを超えるぐらいで、まだまだなんとかやり過ごせる気温ではあるものの、来月になればゆうに 40℃ オーバになることもまれではない。北京の夏は湿度が低く、気温が高くても比較的過ごしやすいと言われていたのは、すでにずっと以前の話。昨今は高温だけでなく湿度も相当あり、東京都心以上に蒸し暑い。それこそおもてに立っているだけで体中の水分が流れ出ていくような、正に地獄のような暑さである。
北京の人は西瓜が大好きである。夏になると、おやつ代わりに、そして食後のデザートに大量の西瓜を食べる。他にもたくさんの果物が出回っているけれど、やはり夏は西瓜らしい。中国の人は夏でも冷たい水をがぶ飲みする習慣はない。なんでも冷たい物を飲むと体の“気”が滞って良くないかららしい。だから未だにレストランで出てくるビールも生温かったりするわけだが、それはともかく、真夏の貴重な水分補給源として西瓜を食べるようである。また水分補給以外にも西瓜には利尿作用もあるという。西瓜を食べることで新鮮な水分を補給し、さらに体に溜まった余計な水分を排出して新陳代謝を良くさせる。夏の暑さで悪くなった体調や体のむくみを改善させるわけだ。これもまた中国四千年の生活の知恵の一つだろうか。
そんなわけで西瓜である。我が家でも本日、今年最初の西瓜を近所のスーパーで買って喰ってみた。まだ出始めだからなのか、若干甘みが足りない気がするものの、良く身が締まっていてシャクシャクとした歯ごたえが美味しい。軽く塩をふって喰ってみると、控えめだった甘さも増して更に美味くなる。水分も豊富に含んでいて水水しい。確かに昼間の内に流れた水分やミネラル分の補完としては、これほど理にかなった果物もないと思える。
ちなみにこの大玉は、重量約 6kg。これで一玉 8.65 元なり。日本円にすると、今のレートでだいたい 150 円ぐらいか。素晴らしい。安くて美味くて、さらに体にも良い。北京の西瓜は、西瓜好きの日本人にとっても夏の必需品なのである。
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