26 日に台湾南部で発生した地震については、日本にお住まいの皆さんもテレビのニュースなどで見てご存じだと思うが、この自然災害は中国本土にもその余波をもたらした。
台湾から 15km 南にある海底ケーブルが少なくとも 6 本切断した影響で、日本と香港、香港と台湾を結ぶ回線がほとんど普通状態に陥った。切断したと伝えられているケーブルは中美、亜太 1 号、亜太 2 号、FLAG、亜欧、FNAL(いずれも中国語名)と呼ばれるもの。陝西省・西安、重慶、湖北省・武漢、そして北京などで同日午前 4 時頃からネットへの接続が困難になり、直接、間接的かは不明だが、やはりその要因はこれらケーブル損傷の影響と見られた。
と状況説明はともかく、実際に私が暮らす北京でも今回の地震の影響は甚大であった。とにかくこの二日間はネットへの接続が非常に不安定。とりあえず中国国内のサイトやメールサーバへはなんとか繋がるものの、国外、とくに日本のサーバは全くアクセス出来ない状況が続いた。日本向けのメールも遅配が相次ぎ、中には行方不明になってしまったものもあった。
特に地震が発生した直後の 27 日は、ネットに加えて国際電話も絶不調。少ない回線を奪い合って輻輳が生じているのか、まずかからない。何度かしつこくリダイヤルしているうちにかかったとしても、回線が不安定なためか途中で切れてしまうことも多々ある。再度トライするものの、受話器のマイクからは話し中を示す無機質なトーンがむなしく聞こえてくるばかりである。まるで切断されたケーブルの先から、深海の音が紛れ込んできているような不気味さであった。
そんなわけで、この日一日は日本とほとんど連絡が取れないため、対日本向けの仕事は全く進まず。幸い年末ということもあり、仕事量自体はそれほどでもなかったからまだ良かったが、いくつか緊急に連絡を取りたい案件もあってイライラさせられた。まあいくらヤキモキしたところで、どうにもならないものはどうしようもない。電話もメールも通じないおかげで、つまらない連絡も仕事の依頼も来ないとポジティヴに考えるしかないわけだが。
28 日になると回線の迂回措置などによりいくらか状況が改善されたようで、中国大陸向けには 55~10% まで復旧したとのこと。まず国際電話は普通にかかるようになった。メールもほとんど遅れることなく届くようになり、とりあえず連絡手段としてはこれらで確保。
しかし web は相変わらず非常にレスポンスが悪い。ちなみに Yahoo! Japan はまだマシなものの、まともにアクセスできるのはトップページだけで、ニュース記事や検索ページに飛ぼうとすると、とたんに遅くなる。幸い スラッシュドットジャパン や impress 系のニュースサイトは比較的良好にアクセス出来たので、情報収集に役立った。それぞれのサーバが置かれたバックボーンによって、アクセスレスポンスに違いがでるのかもしれない。どうでもいいが、2ch は完全にアクセス不可能。さらにこのサイトの pos.to サーバも同様に全くアクセス出来ず。おかげでせっかくの日記ネタなのに、リアルタイムで更新することが出来なかった。
それにしても今回の件で改めて思うのは、今の生活や仕事がいかにネットに依存しているかということである。それが一旦手元から奪われてしまう、恐怖と不安。そして情報の海から文字通り接続が切断されてしまった孤独感。私は病的なネット依存症ではない(と思っている)が、ほんの数日ネットにアクセスできなかっただけで感じたこれらの負の感情は、なんとも御しがたいものであった。
年末ということもあり、本格的な復旧作業は年が明けてから行われるようである。それでも物が海の底に沈んでいるケーブルだけに、それなりの日数は要すると思われる。早く直ってくれないものか。相変わらず不安定なネットに辟易しながら、心から思う私である。
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