太陽からの風 | |
アーサー・C. クラーク Arthur C. Clarke 山高 昭 早川書房 2006-04 売り上げランキング : 134994 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
件の小説はこの短編集に収録されたもので、火星探索中に事故に遭い地球に帰還できなくなった男が絶望の中、自らの任務を果たすために地球の太陽面通過の観察に赴くという話。火星から見る地球の太陽面通過という人類が未だ誰もその目で見たことのない天文現象を、赤茶けた大地でたった一人見つめる。壮大な宇宙のロマンを叙情的に綴るクラークの文章が素晴らしく、正に名作だった。表題作の「太陽からの風」も、太陽風を受けて宇宙空間を動く宇宙ヨットを題材にした作品で、こちらも印象深い。
確かこれを読んだのは高校生の時で、出版社は(当然ながら)早川だったからもうとっくに絶版か、と思ったら、なんと今年の 4 月に復刊してるじゃありませんか。いやはやタイムリーというか何というか。当然 Amazon にて発注。
ちなみに宇宙天文ニュースによると、 火星で見ることの出来る「地球の太陽面通過」は、しばしば 79 年間隔で起こる場合があり、近年では 1905 年 5 月 8 日と 1984 年 5 月 11 日、2084 年 11 月 10 日と 2163 年 11 月 15 日、2189 年 5 月 10 日と 2268 年 5 月 13 日に起きるという。直近では 2084 年か。しかしその時には私は残念ながらもう生きてはいないだろう。でも見てみたいもんである。
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