WRC 第 14 戦ラリー・オーストラリアが、今年もまたオーストラリアの西岸の都市パース近郊で行われた。
その小石と埃に覆われたコースをして「ボールベアリングロード(要するにもの凄く滑りやすい道という意味)」と異名を取り、1989 年に初めてWRCイベントに昇格してから 17 年の間、赤茶けた大地と深緑の森の中を超高速で全開アタックするイベントとして(そしてその結果やたらとクラッシュ率の高いイベントとして) WRC ファンにも人気が高かったわけだが、諸般の事情によりパースで行われるのは今年で最後となってしまった。私も過去に二度、このラリー・オーストラリアを見に行ったことがあるが、オーストラリアの大自然の中を正に弾丸のようにかっ飛んでいく WR カーの姿は実に感動的だった。しかしパースでの開催はこれで最後となるが、来年一年は休止とし、2008 年より場所をオーストラリア東部のメルボルンに移して再開となる予定である。時間(と旅費)の都合がつけば、是非ともまたオーストラリアの大地を疾走する WR カーを見てみたいものだ。
それはともかく、本日 10 月 29 日に最終のレグ 3 を行い、フォード・フォーカスRS WRC06 のミッコ・ヒルボネンが WRC 初優勝を達成。今回はチャンピオンシップのリーダであるセバスチャン・ローブ(シトロエン)が腕の骨折で欠場、さらに優勝候補の同僚マーカス・グロンホルム(フォード)が SS1 で無念の転倒、早々とトップ争いから離脱したり、その他のライバルも次々とボールベアリングロードの餌食となったりで、正面切って堂々と、とは言えないような気がしないでもないが、ラリーはゴールまで走りきってナンボの競技。最後まで集中力を途切らせることなく首位をキープした精神力は立派である。これが以前のミッコだったら、プレッシャーに負けてどこかで限界を超えてクラッシュでもしていたはず。それが今年はすっかり安定度も増し、ポディウムの常連になるまでのドライバーに成長した。こりゃ近いうちに優勝もあり得るかもとは思っていたが、こんなに早くその機会がやって来るとは。今後も精進を重ね、是非ともローブの独走を止めるフライング・フィンになって欲しいもの。
2 位にはペター・ソルベルグ(スバル)。レグ 1 で先行者のダストに視界を奪われ大幅にタイムを落としたものの、その後は堅実な走りで 2 位をキープ。未だにセッティングが定まらず今一つ調子の上がらないインプレッサ WRC2006 を思えばこの結果は上出来か。しかしかつてスバルにいたころは舎弟扱いだったミッコにガチンコバトルで負けてしまったというのも、これもまた時代の流れですかね。
以下、3 位はマンフレット・ストール(プジョー 307 WRC)、4 位はチェビー・ポンス(シトロエン・クサラ WRC)、そして 5 位はレグ 1 で転倒を喫したグロンホルムという順位に。グロンホルムが 5 位に甘んじてしまった結果、欠場中のローブの 3 年連続ドライバーズタイトル獲得が決定した。まあ数字の上ではこういうことになったわけだが、なんとなくしまらない感じがしないわけでもない。しかしまだ二つイベントを残して早くも優勝決定ってのもなあ。ローブが強すぎるのか、他が情けないのか。
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