WRC 第 11戦 ラリージャパンは、三日間に渡る熱いバトルを終え、本日無事に全日程を終了。結果としてはセバスチャン・ローブ(シトロエン)が前日までのリードを守り、ラリージャパンで初優勝を達成した。2 位は LEG1 まではトップだったマーカス・グロンホルム(フォード)。
結果的にはこういう順位でフィニッシュしたわけだが、それにしても今回のローブとグロンホルムの正に火花散る全開バトルは非常に面白かった。グロンホルムはローブに奪われたトップの座を奪回するため、最終日の LEG3 にフルアタックを敢行。前日まであったローブとの差 25.6 秒をステージごとに削り取っていく。LEG3 最初の SS を終えて 21.4 秒までに縮めると、三本目のステージではさらに渾身のアタックで、15.7 秒差にまで一気に短縮。昼のサービスを終えて午後のループでは再び猛チャージを見せ、2 番時計のローブに 6.9 秒差をつけるウルトラ・スーパー・ミラクルタイムをマークして、一気に差を 8.8 秒にまで縮めた。もしやこのまま大逆転か、と固唾を飲んでステージタイムを見守る。
しかし、続くペンケのステージでグロンホルムがトップタイムをマークしたものの、逆転するまでには至らず。結局 5.4 秒差のマージンでローブはわずか 1.3km の最終ステージを憎たらしいほど落ちついた走りでフィニッシュし、ラリージャパン初制覇となった。残念ながらグロンホルムはほんの数秒の差でローブに届かなかった結果となったが、このグロンホルムの熱い走りを受け、某巨大掲示板系の実況板ではグロンホルム祭りが勃発。私もちょっとだけ参加したが、いやもう、久々に興奮しましたですよ。やっぱり WRC はこうでなくちゃ面白くない。
それにしてもローブは強く、そして速い。ラリージャパンに勝ったことで、これでカルロス・サインツとタイの 26 勝だった歴代最多勝の記録も 27 にまで更新し、名実共に WRC 史上最強のドライバーに輝いたわけである。しかもローブはまだまだ現役バリバリの、正に脂が乗り切ったドライバーであり、はたして今後どこまで記録を更新するのか。しかしローブって WRC にデビューしてからまだたったの四年だもんなあ。なのにこの大記録を達成。「天才」というのはこういう人のことを言うんですかね。
続く 3 位にはフォードのミッコ・ヒルボネン。トップの二人とはかなり離された結果ではあるが、コンスタントにタイムを刻み堂々の表彰台である。スバルにいた頃はここ一発は速いものの、自らのミスでクラッシュやリタイヤする場面が多かった。しかし今年フォードに移籍してからすっかり走りに安定感が増した。この調子で行けば WRC 初優勝も近い将来達成するはず。WRC を盛り上げるためにも是非とも精進して頑張ってほしいもの。
以下、4 位にはクリス・アトキンソン(スバル)、5 位にはプジョー 307 で出場したマンフレッド・ストール。アトキンソンとストールの 4 位を巡るバトルも面白かったが、結局はアトキンソンに軍配が上がる結果となった。続く 6 位には日本人唯一の WR カードライバーである新井敏弘。残念ながら表彰台には届かなかったけれど、数々のマシントラブルをだましだまし走らせてこの結果は十分健闘したと言える。ただもう少しマシンがまともな状態ならもっと上位を狙えたチャンスはあっただけに、なんとも煮え切らないというか、ほろ苦い結果ではある。
それにしてもスバルはまたしてもマシンの信頼性が心許ないことを露呈してしまった。アトキンソンがなんとか 4 位に入ったものの、トラブルに次ぐトラブルでエースのペター・ソルベルグはトップ争いはおろか、まともにバトルに参加することも出来なかった。そりゃ何度もブレーキが効かなくなるは、フロントデフがぶっ壊れるはじゃ、なんとかフィニッシュを迎えただけでも奇跡に近い。せっかくスバルの母国である日本でのラウンドだっただけにスバル勢は気合いが入っていただろうが、車がまともに走らないんじゃ勝負以前の問題である。まあこれも今に始まった話ではなく、ここ一年すっかりこんな状態が続いているわけだが、最近のソルベルグのコメントを見聞きすると、もう俺っち、すっかり諦めたよ、みたいなニュアンスもある。このまま改善がなされないと、下手すると三行半を突きつけられることにもなりかねない。もちろんスバルは信頼性向上に向けて懸命の努力をしているだろうけど、トラブルの根はかなり深そう。これから WRC も後半戦。グロンホルムとローブばかりが勝っても面白くないので、なんとか最後の意地を見せてほしいけれど。
WRC と併催だった PWRC では、ランエボ IX を駆る日本のエース奴田原文雄選手が見事に逆転優勝。これで今シーズンは初戦のモンテカルロに続く PWRC2 勝目、ラリージャパンでは初優勝となった。三菱ヲタの私としては正に溜飲の下がる結果であるとともに、これで開催地日本の面目躍如というところか。すげえぜヌタさん。
と、いろいろあったラリージャパン。なんだかんだ言いながら結構楽しめたラウンドであった。いやしかし、やっぱりそろそろ生で見たいっすよね。
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