2006 年 WRC(世界ラリー選手権)第二戦は、場所をスカンジナビア半島に移してのスウェディッシュ・ラリー。近年は暖冬気味で、特にここ数年は降雪量が少なく、半ばグラベル・ラリーと化していたこともあったが、今年は世界的な寒波の影響を受けて雪も十分にあるとのこと。
初日のLEG1。合計六つのステージを走り、前戦のモンテカルロで優秀を遂げたマーカス・グロンホルム(フォード)が快調に飛ばし首位に立った。WRC イベント中、スウェディッシュが最も得意と公言するだけに、さすがの速さ。web でのインタビューなどを読むと、マシンも自身の状態も如何に乗りに乗っているかが良くわかる。昨年までのプジョー 307 のメカニカル・トラブルに悩まされた頃の、苦虫を噛み潰したような顔とは別人のようだ。フォードに移籍し、信頼性の高い車を与えられたことで、プジョー 206 時代の圧倒的に強かったグロンホルムがようやく戻ってきたのかも。
2 位にはセバスチャン・ローブ(シトロエン)。SS1 後のロードセクションで、ライトポッドを外した際にボンネットのキャッチピンをとめ忘れたために、ボンネットが走行中に突然開いてしまうアクシデントが発生。SS2 のタイムコントロールに一分間の遅着したため 10 秒のペナルティが課されることになったが、SS4、5、6 と三連続ベストを叩き出すあたりはさすが昨年の王者の凄み。初日を終わった時点で首位グロンホルムとの差はわずか 10.2 秒なので、明日以降の状況如何によっては逆転も十分ありうる。しかしこの二人のバトル、20~30km もの雪道を全開で走って(それも最高 200km/h 以上というウルトラ・ハイ・スピードだ)、その差わずかコンマ秒以下ってのが凄すぎる。これがヨーイドンで一緒に走っての結果なら分からなくもないが、別々に走ってこれだけの差しかないというのだから、いかにシビアな戦いが繰り広げられていることか。見ている方はシビれまくりだけど、実際やってる本人達は大変でしょうなあ。
3 位、4 位には、ジャンルイジ・ガリとダニエル・カールソンの三菱プライベータコンビ。二人が乗るランサー WRカーは 2005 年スペックの旧型ながら、並み居る強豪を押しのけてのこの結果は大健闘と言っていい。しかし三菱もワークス撤退後にこんなに素晴らしい結果になるなんて、なんとも皮肉というか何というか。まあ二人には出来る限り良い結果を出してもらって、三菱再参戦のきっかけにでもなってくれれば。
一方、散々なスタートとなったのがスバル勢。ペター・ソルベルグは、いきなりオープニングの SS1、スタートから 7km 地点の 6 速全開ストレートで、左リヤのドライブシャフトが突然壊れるアクシデント。ベストタイムのグロンホルムから 52.6 秒も遅れたステージ 23 番手に沈む。次の SS2 もその状態で走行したソルベルグは、最初のセクションだけで 3 分のロス。さらに午後のステージでは、今度はギヤボックスのトラブルでストップ。サービスのタイムコントロールにも遅着して 2 分 10 秒のペナルティを課され、ポディウム圏内から早々と脱落してしまった。
さらにチームメイトのクリス・アトキンソンも、SS3 のスタート直後でお約束のコースオフ。パワーステアリングを壊して大幅にタイムロスし、結局、ソルベルグが 21 位、アトキンソンが 26 位と、ポイント獲得さえ難しいポジションになってしまった。 自爆したアトキンソンはともかく、ソルベルグ車のトラブルはもったいなさ過ぎる。鳴り物入りでデビューしたインプレッサ WRC 06 スペックだが、新型にはありがちとは言え、こうもトラブルが続くと信頼性云々以前の問題のような気もする。しかしソルベルグは昨年のラリージャパン以降、隠れていた石にヒットするわ、カンガルーとぶつかるわ、あげくに何もしてないのに車が勝手に壊れるわで、まるで何かに憑かれたかの如くな悪運続き。お祓いでもしてもらったほうがいいのではないか。
明日の見物はグロンホルム、ローブのトップ争いと、ガリとカールソンの同門対決ですかね。個人的にはミッコ・ヒルボネン(フォード)の反撃にも期待したい。
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