セバスチャン・ローブが十六戦中十勝という圧倒的な強さを見せつけ、そして悲しい出来事が続いてしまった WRC 2005 年シーズン。先月のラリー・オーストラリアで今期は終了し、新年一月のモンテカルロ・ラリーから始まる新シーズンを心待ちにしていた矢先、またしてもとんでもないニュースが飛び込んできた。
かねてから今シーズン限りで撤退を表明していたプジョー、シトロエン(シトロエンは 2008 年から復帰)、そして先日ワークスとしては参加しないことを発表したシュコダに続き、三菱自動車が来年の WRC にワークス参戦しないことを発表した。これにより 2006 年のワークス参加チームはフォードとスバルのみという事態になってしまった。ううむ、前々から来期はヤバそうだという噂は飛び交っていたが、本当に不参加となるとは。
しかしモンテカルロのエントリー締め切り間際になってこの発表があったということは、ギリギリまで交渉が続いていたことを伺わせる。ラリーチームとしては最低限全戦参加でなかったとしてもワークス参加としたかっただろうが、最終的には株主も経営者も首を縦に振らなかったということだろう。例の不祥事続きによる販売不振で財政状態は最悪。そんな状態の時に数百億円の資金をつぎ込んでも、数回表彰台に立っただけという、コストパフォーマンスの低さが「否」と判断されたのか。
こうした三菱の台所事情はしかたなしとしても、あくまでもテレビ放送を最重視して WRC を改悪し続けてきた FIA と ISC の政策が、いよいよ最悪の結末を迎えようとしている気がする。放送権収入を当て込むために、全十六戦という無謀とも思えるほどラウンド数を増やし、結果、資金に乏しいワークスが次々と撤退していくこの事実を、FIA も ISC も直視しているのだろうか。ワークスがたったの二つだけで何が「世界選手権」か。私の愛するこのモーター・スポーツは、これからどこへ向かおうとしているのだろう。