現在、小惑星「イトカワ」への着陸、試料採取、地球帰還を目指している探査機「はやぶさ」は、世界中が固唾をのんで見守る中で行われた今朝の一度目の着陸に、残念ながら失敗した模様だ。
JAXA のサイトの記事によると、本日 11 月 20 日 05:20 頃(以下日本時間)に自律モードに入った「はやぶさ」は、「イトカワ」の地表から高度 17m まで降下したことが確認された後、上昇も降下もしない状態で停止。そのため、 07:00 過ぎには地上から上昇コマンドが、続いてセーフモードに入るコマンドが送信されたものの、これらに対する反応はなく、一時は「表面に突き刺さっているのではないか」との憶測も流れた。
しかし着地点が裏側に入った 08:00 過ぎには、まだ「はやぶさ」が飛行していることが判明。その後、09:30 頃には双方向通信が回復、ミディアムゲインアンテナでの交信が確立した昼過ぎには、はやぶさがセーフモードに入り上昇していたことが確認された。セーフモードに入った理由は、上昇中に太陽電池パドルと太陽との角度が大きくなりすぎたためらしい。また、上昇も自律コマンドで行なわれたようだ。その後のデータの解析で、高度 17m 付近で「はやぶさ」の姿勢が「イトカワ」表面にならうように制御をかけた後、表面に対して水平にドリフトする軌道に入ったと考えられているようで、念願の「タッチダウン」は出来なかった模様。
現在の「はやぶさ」はホームポジションよりさらに遠く、イトカワから 100km ほど離れた地点にいる。セーフモードに入ったことによるスピンは止めたものの、三軸姿勢の確立には至っていない。ターゲットマーカはまだ残っているため、今月 25 日に再度降下を行なうことを目標にしているが、最終段階で起きた現象の解明、残燃料の見積、温度上昇を受けた計測機器への影響の確認など、やるべきことが多いため、はたして 25 日に間に合うかどうかは微妙なところであるようだ。なお、88 万人の署名の入ったターゲットマーカは、05:30 頃に高度 40m から投下されており、このターゲットマーカが「イトカワ」表面に到達したことは確実と思われる、とのこと。
ということで最初のタッチダウンには残念ながら失敗してしまったが、チャンスはまだ残されている。日程的な問題や残された推進剤の量など、解決すべき問題は多いだろうが、是非とも次回には見事やり遂げて、人類史上初の「小惑星からのサンプルゲット・リターン」を成功させてほしい。がんばれ「はやぶさ」。何の役にも立たないけれど、俺がついている。
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