Apple がついに日本での「iTunes Music Store」の開始を発表した。中心価格帯は 150 円とやや割高な気がするものの、サービス開始時から 100 万曲を用意し、15 の国内レコード会社が参加するとのこと。本国での iTunes Music Store のサービス開始から 2 年強、日本上陸からも 2 年弱と随分時間がかかってしまったが、まずはこれで一歩前進といったところだろうか。
ということで早速試してみたわけである。常用している iTunes からシームレスで iTunes Music Store に移動できるのはなかなか快適だ。サイト自体の作りもかなり軽く出来ているようで、日本と比べてネット環境が貧弱な中国からのアクセスでも画面の切り替えや検索時のスピードもそこそこのレスポンス。
しかし肝心のコンテンツは 100 万曲と言ってもまだまだ邦楽中心のようで、洋楽系、とくに私が必要とする重金属音楽関連は残念ながら全滅に近い。まあ予想はしていたことではあるが、現段階では個人的には微妙に使えない、というところか。もっともこれはサービスを提供しているレーベル数がまだまだ少ないという根本的な問題があるのと、それにやはり日本版 iTunes Music Store はやはり日本向けに作られているから、であろう。そりゃ日本向けなんだから、まずは J-POP のコンテンツを充実させるに決まっているわけで、それなりに売り上げが期待できる海外ビッグ・ネームはともかくとして、マイナーなバンドなぞは後回しになるのは必然である。
それでもこれこそ時間の問題で、やがては他国でのサービスと同様に、この手のマイナー音楽だって購入することが出来る日が来るのでは、と期待したい。特にこうして海外で生活していると、たとえばマイナー音楽もそれなりに充実している amazon.com から物を買うにも物流的にいろいろやっかいな問題があって、何かと不便なことが多い。それがこうしてネットのみで事が完結するなら、それにこしたことはないわけである。是非とも今後のコンテンツ充実を切に願うのである。
それにしてもこういうサービスが一般的になると、自前でプロデュースできたりホームレコーディングできるようなアーティストがこぞって iTMS などのネットワーク音楽流通サービスと手を組めば、プロモーションやメディアのコントロールに無駄なコストをかける時代は終わって、旧来のレコード会社のようなものは必要なくなる時が遠からず来るのかもしれない。そういう意味ではよりアーティスト寄り、楽曲寄りな市場文化に希望がみえてきたような気もするが、どうか。まあもっとも創作が個人にシフトしてくると、権利団体への依存度が今以上に上がりそうな気もしないではないけれど。
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