豪州日記四日目。今日も朝から雲一つない快晴。三日間に渡るラリー・オーストラリアも、いよいよ今日で最終日だ。ラストは例年通りオーストラリア名物、Sotico の森を爆走する SS だ。そのステージを観戦するべく、朝七時にパース市内を出発して約 150km のドライブ。
Sotico の SS は、当たり前ながら何度も何度もテレビや DVD で見たコースそのものである。是非一度生で見てみたかったラリー・コースを、もうもうと土煙を上げて二段の小高いクレストをとんでもないスピードで超えたあと、だっぱーんとウオーター・スプラッシュをパスしていく。凄い。凄すぎる。ジリジリと肌を焼く強烈な日光も、鬱陶しいハエの大群も、これを見るためなら大した問題ではない。猛烈に日焼けした首筋が痛いけど。
三日間のラリーの全日程を終え、波乱の WRC 最終戦を制したのは、すでに今シーズンのドライバーズ・チャンピオンを決めているセバスチャン・ローブ(シトロエン)。相次ぐ主力ドライバーのリタイヤで、ローブにしてみれば正直言って今回のラリーは楽勝だったろうが、抑えた余裕の走りでもきっちり優勝してしまうのがローブの凄さか。この調子でいくと、ここしばらくはローブの時代が続くのかもしれない。以下、二位にはプジョーのハリ・ロバンペッラ、三位はフランソワ・デュバル(フォード)がポディウム・フィニッシュ。ミッコ・ヒルボネンは惜しくもポディウムに届かない四位だったが、端から見ていてもヒルボネンも十分速い。経験を積んだ今年を糧にして、来年は飛躍の年となるかも。
併設された PWRC は日本の新井選手が優勝。日の丸を付けたスバル・インプレッサが観衆の大歓声を受けながら Sotico のウオーター・スプラッシュを駆け抜ける様を見ていると、同じ日本人としてなんとも誇らしげな気持ちになる。今シーズンはメカニカルトラブルが頻発するなど不運なラリーが続き、惜しくもシリーズ・チャンピオンには手が届かなかったが、ここ一発のブチ切れたドライビングは他を圧倒するスピードとカリスマ性がある。来シーズンは是非ともチャンピオン奪還を目指して頑張ってほしい。
Sotico からパースにとって返し、パース市内を見下ろす小高い丘の上にある Kings Park で行われた表彰式を見た。優勝者のセバスチャン・ローブとマニファクチュアラーのシトロエンを称えるフランス国歌が会場に流れ、なかなか感動的だ。今回は楽勝だったとは言え、三日間のラリー競技期間のプレッシャーからようやく解放されたからか、いつもアイス・クールなローブもさすがに嬉しそうだ。シャンパンファイトも大はしゃぎ。
ということで、ラリー・オーストラリアは、これにて全て終了である。三日間なんて終わってみればあっという間だった。まだまだいつまでも見ていたい気がするけれど、十二分に堪能したから良しとするか。いやしかし、やはり生の迫力に勝るものはない。まさに砂かぶりの近距離で、爆音をとどろかせて赤い大地を疾駆するラリーカーの迫力は、テレビの小さな画面では絶対にわからない。一度でも WRC を生で見たものは、遠く海外だろうが街から何百キロも離れた山の中だろうが、取り憑かれたように何度も何度も足を運ぶことになるという。人呼んでラリー・バカ。私も立派なその一員だ。さて次はどのラリーを見に行こうか。
参考URL:
SUBARU MOTOR SPORTS
World Rally Championship Official