今さらという感がしないでもないが、「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」をようやく鑑賞。見たところは先週に引き続き、幕張のシネプレックス 10 幕張にて。ここのハコは音響が素晴らしく(「HDCS」というシステムらしい)、さらに椅子が比較的ゆったりした作りなので、のんびりした気分で映画鑑賞できるから最近気に入っている。ちなみに公開から二ヶ月、しかも平日のレイト・ショーだけあって、館内はガラガラ。やはりチーズと映画は賞味期限ギリギリが一番美味しいのである。
さて映画だ。3 時間 20 分という長尺なれど、長大な物語の最終章にふさわしく、随所に盛り上がりどころ満載でまったく飽きることがない。特に映像的なハイライトであるミナス・ティリスでの戦闘シーンは圧巻。前作(第二部)のヘルム峡谷の戦闘も凄かったが、さらにパワー全開という感じか。壮大な物語をいっそう盛り上げる音楽も実に素晴らしい。
ストーリーとしては、なんといってもサムの忠実な従者ぶりが感動的。実はこの物語の真の主役はサムだったんじゃないかと思えるほどだ。「指輪の重荷は負えないけど、あなたを背負うことは出来る」なんて、なかなか言えないセリフじゃないですか。さらに旅の仲間が久しぶりに再会するシーン、皆が揃って懐かしのホビット庄へ帰還するシーンにも、ぐっとくるものがあった。パブ風居酒屋の片隅で無言で労いの杯をかわすシーンもいい。
しかし何か今ひとつ不親切に思えるところが多かった気もするのである。たとえば思いつくだけでも、サルマンはどうなったのかとか(すっかり毒気が抜けて普通になった、という説明はあったが)、トンネルで出現する巨大グモのことを何故揃いも揃って「婆さん」と呼ぶのかとか(どう見てもそういうキャラとは思えない。女郎蜘蛛なのか?)、そして最後になぜフロドが西の国へ旅立たなきゃならないのかなど、特に説明も何もないのでさっぱりわからない。
それに、やはりアルウェンが出てくるところだけ物語の流れから浮いていたような気がしてしょうがないのだ。この手の物語の常道からすれば、アラゴルンとくっつくのはやっぱり出番の多いエオウィンなのではないかと思うのだけど、今回はほとんど出番もなく、エピソードもろくに語られていないアルウェンが最後にいきなり出てきてアラゴルンと熱烈なキスをするというのは、どうにも納得できないような。しかもエオウィンの方だって、どういうわけかファラミアとくっついていることを思わせるカットがあるのも謎。そんな伏線、どこかにあったっけ。原作を読んだのはもうかれこれ 20 年以上前だから、細かいストーリーやエピソードをほとんど忘れているからかもしれないが、ここらあたりはちゃんと原作には描写されているのだろうか。やっぱりもう一回読み直す必要がありますかね。
ということで細かいことを言えばいろいろあるが、そんな些細なことはどうでもよくなるほど、実に壮大なスケールの映画だった。こんなにもすごい作品はそうそうお目にかかれるものじゃない。
蛇足ながらついでに言うと、アルウェン(リヴ・タイラー)のお父さん役、どうせならスティーヴン・タイラーにやってほしかったと思うのは私だけですかそうですか。
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