新聞を読んで初めて知ったのだが、化粧品などで知られるカネボウが破綻しかけらしい。なんでも当初は花王に化粧品部門を売却し、その売却益で不採算部門の負債をチャラにする計画だったそうだが、売却後に残る繊維や食品、薬品事業はいずれも競争力に乏しく、社内で不安が台頭。伝統的に経営に強い影響力を持つ労働組合が売却に反対する姿勢を明確にしたため、暗礁に乗り上げた。結局、社内反対派の声を覆すことが出来ず、売却案を破棄して産業再生機構にすり寄ることにしたらしい。
ライバル会社から花形部門を譲り受けることになり喜んでいた花王は、話が急展開していきなりボツになり激怒しているそうだが、一方の産業再生機構の方は、今まで中小企業しか手がけていなかったから、カネボウのような大企業は歓迎しているとのこと。売る方、買う方、金を出す方、まあなんとも様々な思惑の交錯する世界である。
ところで部門売却という経営の根幹にあたる問題にまで影響を及ぼすほど、カネボウ内部で組合の力が強大なのは、かつて繊維不況を組合の協力で乗り切ったという経緯があるためだそうだ。繊維不況っていったって、それは一体いつの話なんだよ、と部外者は言いたくなるわけだが、一度掴んだ成功体験というのはなかなか忘れられないものなのだろうか。
もっとも組織力というのはうまく働けば強みになる。しかし一歩間違うと内部崩壊するリスクも、片方の天秤には乗っている。はたしてカネボウの選択が天秤の振れをどちらに傾けるのか。なんとなく他人事では無いような気がして、動向を見守りたいのだ。
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