iPod のラインナップが一新された。ただ今回のリニューアルは「一新」で買い換えを促すというよりも、どちらかというと未購入者に「まだ買わんのけ?まだ買わんのけ?」としつこく迫り来る悪徳ビジネスマンみたいな感じがする。いやこれ褒めてますけど。しかしどこの言葉だ。
ともあれ、iPod はこれはこれで既に完成されたデバイスであり、今さら度肝を抜かれるようなサプライズを期待しても難しいとは思う。私もすでに初代 iPod nano(2GB 版) を持っているし、とりあえずはこれで満足している。おそらくしばらくはこれを使い続けるだろう。もっとも 5 年も 10 年も使い続けられるほど長寿命でも無いので(特にバッテリがへたる)、壊れるかいいかげん性能に満足できなくなったらその時の最新機種をまた買えばいいか、とちょっと冷めた目で見ている。確か iPod shuffle の時もそんなことを言っていたくせに、わずか半年でさっさと買い換えた奴の言うことなど全然信用できないわけだが。
で、iTunes 7 も出たのでさっそくバージョンアップしてみた。画面が落ち着いた色合いになって、文字も見やすくなり、見た目的にはなかなかいい感じである。ただ動作が全般的にやたらと重く、操作するごとにいちいち引っかかるようなトロさが気にかかる。今後のマイナーバージョンアップで改良されるといいけど。
今回の iTunes 7 の売りの一つは、アルバムのジャケットアートを次々と鑑賞できる「Cover Flow」なる新機能。iTunes の楽曲管理はそれなりに便利だが、アルバムジャケットが見えないない点が不満であった。音楽はもちろんその中身が最も大切なのだけど、それを収めるメディアの「顔」としてのジャケットも、本のカバーと同じくらいに立派な芸術の一分野なのであって、音楽ソースに劣らず重要な位置を占める。ジャケットだけを次々見ていったって充分楽しめるものである。iTunes の A-Z に並べられた楽曲一覧も単純で分かりやすくていいのだけど、言い換えれば味も素っ気もなく、なんとなく寂しい感じがしたのは事実。やっぱりジャケットを見たい。出来れば小さいサムネールではなくて、そこそこ大きなサイズで。今回のこの新機能は、その不満な点を見事にカバーした素晴らしいアイデアと言えよう。さすがアップル。もう俺っち、一生ついていきまっす。
ということで iTunes 7 をアップルのサイトから入手し、さっそく「Cover Flow」を試してみる。ジャケットをダウンロードする旨のダイアログが表示され待つことしばし。私の iTunes には千枚以上のアルバムが登録されているのと、北京からアクセスしている回線上の問題のためか一枚一枚のジャケットをダウンロードするのにも結構な時間がかかるので、全てダウンロードするのには猛烈に時間がかかるが(実際四時間近くかかった)、これも後の楽しみのためである。
ようやく全アルバムのジャケットのダウンロードが終了。アートワークが実に印象的だったあの CD も、昔買った懐かしい名盤も、そのジャケットが今全て我が PC の画面上に再現されるのである。素晴らしい。早速ボタンをドン。
出ない。
延々と「?」マークが続く。
ときおりチラホラとジャケットが表示されるアルバムはあるが、ほとんどが表示されない。ううむ、なんなんだこれは。
よく考えてみると、そもそもこの「Cover Flow」でジャケットのカーバーアートをダウンロードできるのは iTunes music store の日本版で扱っているアルバムに限られるのではあるまいか。つまりは表示できるジャケットは基本的に日本盤の CD だけで、それも iTunes music store で売られているもののみ。となると iTunes music store にて発売されていない日本盤はもちろん、海外輸入 CD(いわゆる外盤)は対象外となるのかもしれない。私の持っている CD はほとんどが外盤であり、しかも音楽ジャンル的にもハードかつヘヴィでちょっとマニアックなものばかり。日本版 iTunes music store で扱われているものは非常に少ない。だから表示されないのだろうか。
と思ってさらに調べてみると、外盤のはずなのにちゃんと表示されるものがあったり、 iTunes music store で扱っている日本盤でも表示されないものも結構ある。ううむ、なんだかよくわかりません。
その後ネットをあちこち探ってみると、今回のバージョンでは仮にジャケットデータがあっても全てがきちんと表示されないというバグが潜んでいるらしい。そうなのか。期待が大きかっただけになんだかちょっと拍子抜けだが、是非ともブラッシュアップを進めて次回のバージョンでは改善されているといいんだけど。