我が家の猫、フェイツイさんが、本日 16 時ちょうど、虹の橋を渡っていった。6 才。純血種は比較的短命とは言え、それにしたってまだちょっと早かったんじゃないかねえ、フェイツイさん。
元々心臓と腎臓に問題があることは分かっていてそれなりに注意はしていたのだけれども、今年の夏頃から腎臓方面が徐々に悪くなり、今月に入ってから急激に症状が進行。先日私が河口湖周辺を死ぬ思いで走っていた頃には、もう後ろ足に力が入らなくなっていた。
我が家の周辺では夕方、地域スピーカで「ふるさと」のメロディが流れ出す。音楽が鳴る時間は季節によって少しずつ違い、夏場は午後 6 時、秋と春は 5 時、そしてこの季節には 4 時きっかりにそれなりの音量で、あのおなじみのメロディが鳴るのだった。我が家では夏場、あのメロディが鳴ると夜のご飯をあげることになっていた。フェイツイさんはそれをすっかり憶えてしまい、家の外から「ふるさと」が聞こえ始めるとすっくと立ち上がって「ご飯の時間だよ」と家人に催促するのが常だった。
そして今日、もうほとんど動くことも出来なくなっていた彼が、あのメロディが流れ始めた時、突然前足を踏ん張って立ち上がり、最後の力を振り絞るように大きく大きく鳴いた。ヨレヨレでぐったりで、肉が削げて骨と皮だけになった細い体の、一体どこにそんな力が残っているのか。驚くほど大きな大きな声で。
フェイツイさんは我が家に来て幸せだったのだろうか。少なくとも私はこの六年間、これまでの人生でないほど幸せだった。大の大人のおっさんが今更何を言うかと我ながら思うけれども、愛おしいという言葉の本当の意味を、教えてくれたのは彼だった。
フェイツイさんは虹の向こうに行ってしまったが、そのうち何年か何十年後かはわからないが、私もいつかその橋を渡る時がやってくる。橋の向こうで待っている(待ってくれていると思いたいが)フェイツイさんが、あの時、何を思って鳴いたのか、きっと教えてくれるに違いない。「足が痛えー」か、「だるいー」か。まあ多分というか間違いなく「ご飯の時間だよー」で当たりだと思うのだが、どうですかねフェイツイさん。
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