始まる前は生観戦は全滅かと思っていたのに、いざ始まってみると、あれよこれよとチケットが手に入る不思議。いやほんと、今回のオリンピックってチケット全然売れてないんじゃないですかね。
それはともかく、北京オリンピック観戦の第三弾は野球、日本ーオランダ戦である。ここまで一勝一敗の日本チーム、これから強豪の韓国、アメリカとの対戦を控えているだけに、正直言って格下のオランダには確実に勝っておきたいところ。ちなみに中国語で野球は「棒球」という。発音はバンチョウ。日本語で「番長」と言えば、たぶん通じる。
ゲームが行われる野球場は、北京中心部の西側にある五棵松野球場。オリンピック用の特設観客席として内野スタンドが設けられていたが、無骨な鉄パイプで組み上げられており、若干の不安を感じる。満員の観客が一斉に立ち上がったりしたら崩れないだろうか、と余計な心配をしたくなる。
ゲームは 19 時に開始。日本は初回、無死一、三塁のチャンスに森野が初球をレフト前に先制タイムリー。続く新井も右中間を破る2点タイムリー三塁打を放った。その後も稲葉の犠飛で4点を先制。
いやこりゃ本当にコールドになるかもねえ、と思ったが、相手投手も尻上がりに調子を上げたのか、初回に大量得点して日本チームの攻撃が雑になったのか、試合中盤は何度もチャンスをつくるも得点できない苦しい展開が続く。
しかし投げては先発の杉内が好投。140km 台の速球と変化球を巧みに織り交ぜ、オランダチームにつけいる隙を与えず、7回を無失点。いや、良いピッチャーです。
日本チームはなかなか追加得点出来なかったが、8回に G.G.佐藤のソロ本塁打と青木のタイムリーで2点を加えた。ここまでくれば楽勝ペースか。
8回からは楽天の田中マー君が登場。直球は 150km 近くとスピードが乗っているものの制球に苦しみ、いきなり二者連続四球を与えてヒヤヒヤさせるが、その後は立ち直り三者連続三振に切って取った。
さらには最終回に中日のエース、川上憲伸がストッパーとして登板。こちらは全く危なげない投球で見事にゲームセット。いやしかし、杉内 ー 田中 ー 川上憲伸 という投手リレーってのもオリンピックならではの豪華さである。リーグが違うからオールスターゲームでだってこんなの見られませんもんな。
ということで日本チームが勝利で終わったゲームだったのだが、試合中ちょっと気になったのが上の写真の連中である。人数にして五十人ほど、皆お揃いの T シャツを着ている中国人団体だ。彼らは試合中何故か執拗にオランダチームの応援をする。最初は、そこらに良くいる日本が気にくわない中国人の観客かと思っていたのだが、彼らの動きをよく見ていると明らかに組織立っている。中に紅い帽子をかぶった者が二人ほどおり、彼らの誘導に合わせて声援を送っているようだった。これが噂の官製応援隊、いわゆる「バランサー」というやつだろうか。
彼らにしてみれば、見たくも何ともない野球なんぞに駆り出されて大変ご苦労なことではある。しかし、こんなことでもしないと盛り上がれないオリンピックも、はたしてどうか。もちろんオリンピックの主役は競技を行う選手達であり、選ばれた者のみが集いしのぎを削る姿さえ見ることが出来れば、開催国がどこであれ観客がどうであろうと、そんなことはどうでもいい。どうでもいいのだが、こういうのを見せられると、なんだかこう、一気に白けてしまうのも事実。良かれと思ってやっているのか知らんが、こんな嘘くさいことばかりやってると、何もかもがインチキに見えてくるだけなんですけどね。
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