今年の北京の天気はちょっとおかしい。例年であればこの時期、連日 35℃ 越えの猛暑日が嫌というほど続くはずなのに、今年はそこまで気温が上昇する日が滅多にない。もちろん最高気温は 30℃ 前後まで上がり、湿度もあるのでそれなりに蒸し暑いものの、朝晩になるとぐっと過ごしやすくなったりして、ここは本当に北京かと思うほどである。そういえば五月、六月は異常に雨が多かった。北京オリンピックを前にして雨を降らす実験をしているだの、そのコントロールに失敗して気象状況が滅茶苦茶になってしまっただの、かなりトンデモ系の怪しい噂がネットを飛び交っているが、さすがにそれはどうか。
大気汚染もいまだに深刻である。北京政府は悪名高き大気環境の改善対策として 1,200億元(約1兆8800億円)を投資。北京オリンピックに向けて万全の態勢を取っていると世界に向けてアピールしているが、正直言ってその効果はほとんど出ていないのではないか、というのがこの地に暮らす者の実感だ。いや実際、青空なんて滅多にお目にかかれないっすよ。
ネットを漁ってみたところ、こんな記事を発見。
■五輪控えた北京:かすかに漂うきれいな空気-汚染指数、翌日再び悪化(7/7 ブルームバーグ)
北京オリンピックの開会式を1カ月後に控え た先週末、北京市の大気汚染度が軽減され、同オリンピック組織委員会の面々は鼻高々だった。ところが、汚染度が軽減されたのは24時間だけだった。オリンピックの開会式は8月8日に開催される。
北京市は大気環境の改善に向けた対策に1200億元(約1兆8800億円)を 投資。選手らがスモッグのなかで競技する危険性を低下させるため、7月20日 からは自動車の交通量を半減させ、建設作業も停止させる予定だ。
6日には、数週間ぶりに北京市を囲む丘が見える状態になった。オリンピックの主会場では、同日正午までの24時間の大気汚染指数が38と、北京市が指定する「優」のカテゴリーまで低下した。世界保健機関(WHO)が推奨する指数の上限は50となっている。
北京市環境保護局の広報担当責任者、王小明氏は「われわれはオリンピッ クまでに大気環境を改善すると誓約した。改善は可能だ」と語る。
大気汚染指数が50を下回ったのは2月中旬以降で4日目。それでも、再び 大気が汚染された状態に戻らないという保証はない。5月にも指数が50を下回ったが、1週間もしないうちに300を超え、北京市は健康被害に関する警報を発令した。今回も、7月7日には指数は75に悪化した。
大気汚染物質の多くは、対策を導入し始めたばかりの北京市周辺の省から流入している。中国国営の新華社通信によると、北京市に隣接し、オリンピックでサッカー競技の開催地となる天津市では、工場40カ所が操業を停止し、ス タジアム周辺では26カ所の建設現場で作業が中止される予定だ。
中国国家環境保護総局では毎日、中国国内の主要都市の大気汚染を指数として測定して発表している(リンクはこちら)。大気汚染指数(API:Air Pollution Index)は、100 以下が「優」「良」、101 を超えるとレベルによって「軽微汚染」「軽度汚染」「中度汚染」「中度重汚染」「重汚染」と分類すると定義されている。しかし WHO の推奨上限が 50 なのに、測定値が 100 でも「良」としてしまうところに、そこはかとなく作為が感じられる。まあそもそも本当に同じ基準で測定しているのかも怪しい気がするが。
ちなみに大気汚染指数が 100 以下の日は「青空の日」として計測しているそうである。上記の中国国家環境保護総局のページで 100 を切った日の様子を思い出してみても、私の目には青空なぞ見えなかった気がするのだが。
北京オリンピックまであと一ヶ月。現状では大気汚染の改善はかなり厳しいような気がする。あとは今月 20 日から実施される大規模な交通規制と、北京市周辺地区の工場などの操業規制がどれだけ効果があるかにかかっている。もっともそうした規制は市民生活に大きな負担を強いることになるのだが、今はそんなことを言ってる場合じゃないですか。経済活動よりオリンピック。まあそれはそうなのかもしれんが、なんだかいろいろ、もの凄く無駄なことをやってる気がするのは気のせいですかそうですか。
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