今年もまた董事会ウィークがやって来た。
中国では会社(「有限責任公司」)の経営権は「董事会」(とうじかい)と呼ばれる経営会議が持つことになっている。董事会は日本で言う「取締役会」と「株主総会」が一緒くたになったようなもので、会社の最高意志決定の場である。通常は年一回、中国での年度替わりである一月から三月に行われるが、日中合資企業の場合は日本の年度替わりに合わせて四月頃に開催されることが多い。私を雇用する北京の会社も毎年四月に行われることが慣例になっている。
で、この董事会で何をやるかと言うと、基本的には日本の取締役会と株主総会とほぼ同じである。前年度の決算、利益処分、今年度の事業計画、会社定款の変更があればその審議、等々多岐にわたる。ただ内容については事前に日中双方の董事(日中それぞれの社長など)とネゴシエーションを取ってあるので、実際の董事会は限りなくセレモニーに近い雰囲気となる。もちろんそこにまで到達するには大量の資料の整理やらお偉いさんとのネゴやら、さらに会場のセッティングやらお昼のお弁当や夜の宴会の手配に至るまで、綿密かつ周到な事前準備が不可欠で、董事会自体よりもその前の準備の方が何倍も大変なのは言うまでもない。
ところでこれら董事会の準備を行うのは董事長や董事ではなく、一般的には総経理や副総経理の役目である。ちなみに中国企業の役職で良く聞く「総経理」とは、英語では「General manager」のこと。よく「総経理=社長」と誤解されることも多いが、あくまでも「マネージャーの親玉」という位置づけである。実際の日常的な会社運営について責任を持ってはいるものの、会社を経営するための最終執行権は持っていない(企業によっては持っている場合もある)。実際の社長は「董事長」、つまりは「董事会」の長であり、中国方、もしくは日本方親会社の社長が「董事長」を兼任している例が一般的である。
そんなこんなで董事会の準備から日本からやって来るお偉いさんのアテンド、董事会の開催、その後の宴会やら数多の行事、その他数々が怒濤のように執り行われた董事会ウィークが、今年もまた今週執り行われたのだった。とは言え私が担当した実務的なところと言えば、董事会の議事録作成とか簡単な通訳、毎晩の宴会要員、それと偉い人達のカバン持ちぐらいなもの。それでも何かと気は使うし連日の宴会で肝臓に結構なダメージを喰らうわで、それなりに疲れる。またともあれ、これで董事会ウィークは終了である。
しかし気がつくと早四月。董事会ウィークの後、来週はちょっと旅行に行き、再来週は深センに出張予定である。なんだか自分の仕事をやる時間が全然無い気がするのは気のせいか。
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