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ハイテク・ギタリストにて絶品ブルージーヴォイスの持ち主、リッチー・コッツェンの最新アルバム。13 年前にリリースされた名盤「Mother head's family reunion」の続編として久々のバンド形式で作られた。
かつては POIZON や NMR.BIG などそれなりにメジャーなバンドに在籍していたものの、バンドに加入したのがいずれもバンドとしての全盛期を過ぎた後でのことだったので今ひとつ不遇な印象のある人。しかしなにせギターは猛烈に上手く、またブルージーかつハスキーな歌声は、そこらのへなちょこヴォーカリストが裸足で逃げ出す巧者ながら、MRLBIG が解散した以降はソロ名義での活動がほとんどであったためか、どちらかというと「ミュージシャンズ ミュージシャン」的な存在であった。そのソロ作品も作品ごとにブルーズ、フュージョン、ファンク、R&B とジャンル的には多彩ながらも、ギターも歌も滅茶苦茶上手いのになんだか器用貧乏というかキャラが立っていないというべきか、引き出しの多さが逆に散漫な印象になったことは否めない。
そのソロ作品の中で出色の出来だったのが「Mother head's family reuion」アルバムである。60~70 年代的ブルーズ風味を基本として、そこにハードロックやファンク、R&B のエッセンスを適度に振り掛け、バカテク・ギターとエモーショナルなヴォーカルを大々的にフィーチャーしつつ、なにより楽曲のどれもが格好いいという正に奇跡的な作品だった。
そこで本作である。タイトルからして「Return of the mother head's family reunion」である。そのまんまじゃないかという意見もあるが、これこそリッチー・コッツェンの気合いの表れであるとファンは勝手に思うのである。
肝心の内容も素晴らしい。前作と同じく 70 年代チックでファンキーでブルージーなロックサウンドが基本だが、豪快さと繊細さが絶妙に同居するギター・プレイ、円熟と艶が端々ににじみ出るヴォーカルに、13 年の月日を経た成長を感じられる。またバンド形式で作成されたからか、たった一人で全ての楽器を演奏していた最近の作品と比べると明らかにドライブ感が増している。ファンキーなロック曲、しっとり聞かせるバラッド、激しくドライブするハードロック調と、作風は多彩ながらバンドとしての一体感があり、ソロではなくバンドとして作られた楽曲のどれもが 良く練り上げられているし、それぞれのパートの聞かせどころも多い。なにより久々に弾きまくっているという感じのギタープレイが凄まじい。渋いヴォーカルもいいけれど、やっぱりリッチー・コッツェンはギターを弾いてナンボだよな、と改めて実感するのだった。
ギターは上手くてヴォーカルも格好いい、なおかつルックスも見目麗しいとくれば、もう少しブレイクしても良いと思うんだが、どうか。
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