機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1) 福井 晴敏 角川書店 2007-09-26 売り上げランキング : おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「亡国のイージス」「終戦のローレライ」などの著者、福井晴敏によるオリジナルガンダムシリーズ「機動戦士ガンダムUC 」の小説版。
物語の舞台は「逆襲のシャア」から三年後の宇宙世紀 0096 年。宇宙世紀元年に起きたテロ事件を発端とした「ラプラスの箱」にまつわる物語が本作の基本となる。モビルスーツの開発で主導的な役割を果たすアナハイム・エレクトロニクス社と密接に関係するビスト財閥。この財閥の長であるサイアム・ビストは、始まりの事件で偶然に「箱」を手に入れる。地球連邦政府と密着し、莫大な富と名声を手に入れ、冷凍睡眠技術を駆使して 100 歳を超えても生き続けるサイアム・ビストはある計画を進めていた。そんな中、スペースコロニーに住む少年、バナージ・リンクスは、謎の少女、オードリー・バーンとの出会いから世界をゆるがす大きな波に飲まれていく。
物語はまだ始まったばかりだが、地球連邦政府とそこに癒着する財閥との関係、ジオン残党の暗躍など現在の社会情勢の説明、またスペースコロニーの構造やそこに暮らす人々の生活などの基本設定の説明にはじまり、モビルスーツとミノフスキー粒子との関係など、蘊蓄を交えつつもガンダムへの愛情が端々に見える。さらには本作の製作にまつわる面々が凄い。原案は富野由悠季、キャラクタデザインと挿絵が安彦良和、メカニックデザインがカトキハジメ。正に正統ガンダム以外の何者でもない。その「オールスター」制作陣が作り上げた世界の上で、登場人物たちの心情と愛情を巧みに描きつつも、モビルスーツ同士のドッグファイトや陸戦特殊部隊の戦闘シーンではいつもの「福井節」を炸裂させつつ、暑苦しいまでに熱く物語が紡がれていく。いやもう、いわゆるところの「ガンダム世代」ど真ん中の私にとって、面白くないわけがない。
なんでもいずれはアニメ化となる予定らしいが、あくまでも小説が先行ということのようだ。続編が大変楽しみである。
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