昨日は、まずは中国人同僚の結婚式に出席。同僚は経理担当の妙齢の女性。お相手は IT 関連の企業に勤める、なかなか真面目そうな青年。
そういえばこれで中国式の結婚式に出るのは三回目である。北京など大都市での結婚式というと、以前は新郎新婦どちらかの家で親戚や友人を集めて披露宴をやるというスタイルだったそうだが、最近はホテルの宴会場を借り切って行うのが一般的である。最近の経済発展に伴って、一般市民の生活水準も上がり、結婚式という一大イベントを派手にやるようになったのは日本と同じ流れである。今回も含めて三回ともそうしたやり方だったのだが、しかし日本と大きく違うのは式次第が極めていい加減ということである。
だいたい開始時間からして適当である。新婦から貰った招待状には午前 10 時から開始と書いてあったが、10 時になっても来客はほとんど来ていない。そもそも新郎新婦すら会場に到着していないのである。しばらくボケッと待っているとパラパラと来客がやって来るが、式は一向に始まる気配すらない。本当に今日、結婚式をやるのだろうか、とこちらが余計な心配をしたくなる 11 時、やっと新郎新婦の入場が始まる。やれやれ、やっと始まったかと思うのだけど、その後の進行もダラダラとして何がなんだかよくわからない。一応会場が用意したらしき司会者が付いてあれこれと進めようとするのだが、来客各々が勝手に酒を飲んで談笑したり会場から出たり入ったりして落ち着きが無く、統制感というものがまるでない。何人かの来賓挨拶(どれもやたらと短い)なぞもあるのだが、めいめいのテーブルで勝手に盛り上がったり、新郎新婦とバシャバシャ写真を撮ったりして誰も聞いていない始末。
終わり方もさらに適当である。披露宴が始まってから一時間もするとパラパラと帰り始める人が出、二時間後にはだいたい半分ぐらいいなくなる。ダラダラ飲み続ける人は延々と飲み、帰りたい人はとっとと帰るわけである。誰かが仕切って「はい、これで終わり」とかけ声をかける人間もおらず、最後に誰もいなくなった時点で終了という案配だ。まあこれも大陸的おおらかさと言えばそうなのかもしれないが、厳かさとは一切無縁の単なる飲み会である。分単位までスケジューリングされた日本の結婚式なぞ、正に別世界の様相だ。日本の披露宴でよくあるような余興の類もほとんどない。最初の乾杯の後は、新郎新婦が各テーブルを回るだけで、その他の特別なイベントもなく、ただひたすら飲み食いするのみである。
食うといえば当然中華、そして飲むといえばもちろん白酒(バイジョウ)である。
これでも私は一応は会社的にはエライ人なので、新郎新婦の親戚やら友人やらが次々と挨拶にやってくる。となれば当然ながら乾杯合戦である。ショットグラスになみなみと注がれた白酒を、「乾杯!(ガンベイ!)」のかけ声とともに一気に飲み干す。喉は焼け、胃は燃える。やっぱりきっついわ、この酒、と思っている間もなく次の人間が白酒の瓶をかかげてやって来る。門前列をなすの如く、次から次へとやって来る。そんなこんなで三時間、ひたすら白酒の飲み続け。どんな酒豪であれ、これだけ飲めば酩酊するに違いないが、酒豪でない私はもちろん撃沈である。
酩酊状態で帰宅後、しばらく休んでから、こんどは夕方から北京に住む日本人の集まりに出席。この会は「北京で美味い大吟醸酒を飲む」という趣旨の元、参加者が日本から持ち込んだ大吟醸酒を飲んであれこれ批評するというもの。すでに十数年の歴史があるという由緒正しき集まりで、私は北京に来た二年前から参加させてもらっている。毎回、日本中から大変珍しく、そして大変美味い大吟醸酒が集まってくる。さらには某日本料理店の一角を借り切って行われるので、北京では普段なかなか味わえないような新鮮な刺身や魚介類を格安で食べることが出来るのも素晴らしい。
今回も見たこともない大吟醸酒が多数集まり、皆であれが美味いこれが美味いだの言いながら飲み続ける。つい先ほどまで白酒に完膚無きまでにやられていたはずなのに、美味い日本酒を飲むと俄然復活するから不思議である。料理も美味い。北朝鮮産のウニ、ロシア産のタコなど、産地は若干微妙だが、どれも新鮮で味わい深い。嗚呼、よくぞ日本人に生まれけり。
夜半に帰宅。体から白酒と日本酒の入り交じった異様な臭いがしているのが、自分でもわかる。我が家の猫、フェイツイ氏も、いつもならすぐにすり寄ってくるのに、今日は胡散臭そうな目つきで遠巻きに眺めているだけである。多分、今なら体を絞ると、アルコールがドボドボとしたたり落ちてくるに違いない。しばらく休肝である。
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