6 月 1 日の未明、中国広東省北部の韶关市始兴县の山中で、営林所に勤める職員が突然鳴り響いた大きな音に驚いて目を覚ました。何事かと調べてみると、森の中に長さ約 5m、直径約 4m の巨大な半円筒形の銀白色の物体が横たわっているのを発見。さらによく見てみると、それには大きな文字で「鑫诺卫星」と書かれていたとのこと。
どうやらこの物体は、6 月 1 日に通信衛星 SINOSAT-3(鑫诺 3 号)を載せて四川省の西昌衛星発射センターから静止トランスファ軌道へ向けて南東方向に打ち上げられた長征 3 号甲ロケットのフェアリングということである。衛星自体は無事に静止トランスファ軌道へ投入されたが、フェアリングを外すタイミングが予定よりも早かったのか、本来は海上に落下するものが山の中に落っこちてしまったようだ。幸い人的被害がなかったからよかったものの、こんなものが空から落ちてきたら建物なぞひとたまりもない。
落ちてきたものはしょうがないとして、このまま山中に捨て置くわけにもいかない。ということで、どうにかして運び出した顛末が別の記事に載っていた。
まずは周辺の木を切り倒し、雨の中を 15 人がかりで 800m 以上にわたる道を斜面に作った。なんとか道路までおろしたあとは、とりあえずトラクターに乗せて近くの派出所まで運んだのち、電車で広州まで移送されたとのこと。正に降ってわいた落とし物のためとは言え、ご苦労なことである。トラクターに乗せられて田舎道を運ばれる写真を見ると、これが科学の粋を集めたロケットの部品とは思えない、なんとも言えない哀愁が漂っている。
まあしかし、中国ってところはいろんなことが起こるもんです。
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