連休中のある日、北京に住む日本人向けの日本語タウン誌(というものが何冊もある)をペラペラめくっていたら、元爆風スランプ、現 XYZ→A のファンキー末吉のライヴ告知を発見した。なんでも中国の知り合いのミュージシャンを集めてのライヴらしいが、なんと現 LOUDNESS 兼 XYZ→A の二井原実も出演するという。うおおっ、これは絶対見ねば。ということで昨日、北京市内にあるライヴハウスに行ってみた。
鼓楼東大街にあるライヴハウス「M.A.O.」が本日の会場。北京市内でもまだ比較的新しいところらしいが、新しいだけあってか P.A. や照明設備もそこそこ充実していて、日本のライヴハウスと遜色はない。ハコのキャパ的には 400 人ぐらいか。 |
ライヴまで少し時間があったので、その前に腹ごしらえ。近くにあったベトナム料理やでフォーを喰った。悪くはないが、ベトナム・フォーというより雲南省あたりの米粉(米の麺)と言った方が良いような感じか。まあ原料は一緒だし、ここは中国だし。 |
ライヴのトップバッターは、日本からやって来た Everset なるインディーズバンド。いわゆるエモ/スクリーモ系の爆音ヘヴィロックという今時ありがちなバンドだが、年間 100 本以上ライヴをやっているというだけあって演奏はなかなか安定している。この手の轟音バンドをライヴで聴くのも久しぶりだが、これはこれで気持ちが良い。 ちなみにライヴのオープニング、METALLICA の名曲「Battery」のイントロからオリジナル曲になだれ込むという、ありがちだが実にナイスな演出に、おじさん胸が熱くなったっすよ。しかしこの曲が世に出た当時、このバンドのメンバーはまだ小学校に上がるか上がらないかという頃だったと思うと実に感慨深い。 |
「ファンキー末吉とお友達 Live」というだけあって、ご本人自ら MC まで買って出るの図。中国滞在歴はすでに二十年近くになるだけあって、当然ながら全て流暢な中国語でこなす。 ちなみにファンキー末吉氏は北京に在住し、凄腕ドラマーとして日本と中国の双方で音楽活動のかたわら、複数のレストランを経営する実業家でもある。 |
次に演奏したのは中国のバンド「布衣(ブーイー:FABRIC)」。いかにも大陸のバンドという感じの、おおらかなメロディを主体としたポップロックバンド。結成は 1995 年だそうで、中国ではかなりベテランの部類に入るバンドらしい。呉寧越(Vo&G)(左写真の中央)の独特の歌声とポップな楽曲が良くマッチしていた。どうでもいいがこの人、ちょっとヒロミに似ている気がしないでもない。 |
上記の「布衣」から最後のセッションバンドまで、助っ人ギタリストとして演奏していたのが、日本から来た田川ヒロアキ。先天性の全盲だそうで、プレイスタイルは同じく全盲の天才ギタリスト Jeff Healey と同様に左手をネックの上に被せて弾くタイプ(通常とは全く逆)だが、いやこれがまた凄いのなんの。イングヴェイも真っ青な早弾きからスウィープ、タッピングなど超絶技巧も楽々こなし、一方でスローな曲では Gary Moore ばりに情感たっぷり歌い上げるようにフレーズを紡ぎ出す(人差し指一本で一音半チョーキングし、さらに豪快にヴィブラートまでかけるのにはぶっ飛んだ)。一応顔と名前は知ってはいたが、こんなに凄いギタリストだったとは。 |
大トリは香港のバンド「Beyond」のドラマーだった叶世荣(イェシーロン)が登場。ほとんどの中国人観客は彼がお目当てだったらしく、曲に合わせて大声で歌い腕を振り上げ声援を送りと、もの凄い盛り上がりである。ただ元がドラマーだからなのか、肝心の歌の方は正直言ってあまり上手くはない。まあそんなことはどうでもいいのか。 |
ということで、久々に生の音楽を骨の髄まで堪能した一夜だった。ちなみにチケット代は当日券で 60 元(約 900 円)。この値段でファンキー末吉や二井原実の Live が見られるのだから、安いものどころの話ではない。ありがたやありがたや。結構頻繁にその手のバンドやミュージシャンが北京に来ているらしいので、こまめにチェックして、また見に来ようと思うのである。
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