大連に出張していた先週の 4/11、アメリカ人作家、カート・ヴォネガット氏が死去。84歳。転倒したことによる脳損傷で、数週間前から治療をうけていた末とのこと。
もうずいぶん昔のことだが、「スローターハウス 5」を読んで衝撃を受けたのも懐かしい。一説によると本作は著者の半自伝的作品ともいわれる。トラルファマドール星から第二次大戦のドレスデンの大空襲、そして現代まで、時間と空間を超えて登場人物の人生が絡み合う不思議な物語だった。その全ての場面に同時に存在し、世界を俯瞰する能力を得た主人公は、全てを相対化し、静かなユーモアをたたえつつ、ある種の諦観を感じている。そんな主人公が人生の無常や悲劇を語るたび、いつも最後に言うセリフ「そういうものだ」。これがまたなんともいえない不思議な感覚を呼び起こすのだった。そういうものか。そういうもんだ。そんなもんなんだ。しかしある時期の自分的アイドルであった人が、もうすでにこの世からいなくなったと知ると、実に感慨深いもんです。
彼の訃報を聞いて、きっと世界中で数え切れないほどの人たちが心の中で呟いた言葉で私も送りたい。
「そういうものだ」
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