我が家で唯一映る日本語テレビ放送である NHK ワールドプレミアムを見ていたら、「放送記念日特集<情報発信に世界が動く~国際放送新時代>」なる番組を放映していた。なんでも本日 3/22 は放送記念日だそうである。放送記念日とは、NHK が 1943 年に制定した記念日で、NHK 東京放送センターの前身である東京中央放送局(JOAK)が、1925 年 3 月 22 日に東京都港区芝浦の仮送信所でラジオの仮放送を開始したことを記念して制定されたとのこと。いや知りませんでした。まあ放送記念日云々はともかく、番組はなかなか興味深かった。
まず番組冒頭で紹介されたのが、中国の国営放送である中央電子台(CCTV)。CCTV では中国国内の様子や「意思」を発信するため、たんねんな作りの英語版番組を製作して世界中に発信している。特に資源関連で最近結びつきの強いミクロネシアやポリネシアには、自前の衛星放送アンテナまで整備しているそうである。またこれまた最近とみにすり寄りが見られるアフリカ諸国との経済的な関係を築くためのプロパガンダをアフリカ向けにバンバン放送しているらしい。まあ、こんなことをやってる国に対して未だに経済援助をする必要があるのかという素朴な疑問は浮かぶわけだが、さすが国営放送というか、中国という国のしたたかさには改めて唸らせられた。
次に紹介されたのが「アルジャジーラ」というカタールの放送局。「9.11」の時にアルカイダ(というかビンラディン)のメッセージを放映したで一躍有名になったところだが、こちらもイスラムの大金持ちの援助で国際(英語)放送「アルジャジーラ・イングリッシュ」を昨年末から始めたそうである。「いずれは世界一の放送局になってやる」と関係者の鼻息も荒く、実際に欧米から技術スタッフやキャスターをヘッドハントして、「欧米とは異なる視点」の報道を世界に発信しようとしている。
フランスの「France24」も興味深い。シラク大統領の肝いりで昨年 12 月に作られたばかりだそうだが、こちらもフランス独自の文化や政策をグローバルに訴えるべく民間と公営放送局からメンバーを引き抜き、相当な国費を投じて運営されているとのこと。ただし今年の大統領選挙で社会党が勝つと、運営体制の大幅な転換を求められるの必至で、また右派の候補が勝っても現状は維持できないのでは、という懸念もあるそうだ。
ごくごく当たり前の話だが、社会がグローバル化する中で、どうやって自分たちの文化や歴史を世界に広く紹介し国家としての「意思」を遍く理解してもらい、それは要するに少しでも自国が有利な立場になれるかを、着々と策を練っているわけである。翻って日本は今後、どうやってどんな内容を情報発信していくのか。すでに携帯電話でテレビを視聴するのが当たり前になり、さらに Youtube のようなメディアの出現で、テレビというマスメディアの将来がいったいどうなるのか全く想像できないが、少なくとも「受信料」に頼って番組を制作する現状の態勢は、どう考えても無理があるのでは、と思ってしまう。
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