■Titan Has Liquid Lakes, Scientists Report in Nature(Jan. 3, 2007 Source: JPL)
昨年 7 月 22 日、土星探査機カッシーニがそれまでのタイタンの観測で最も北側となる北緯 7 度以北の幅 250km、長さ 1,000km 以上の領域を搭載されている合成開口レーダでスキャンし、その結果、直径 3km から 70km 以上のものまで大小合わせて 75 個以上の湖が発見されたという。
と言ってもタイタンは -183℃(90K)という極寒の世界。タイタンの湖はもちろん水ではなく、液体のメタン(あるいはその他の炭化水素化合物)で満たされていると考えられるとのこと。上記にリンクしたサイトの写真は擬似的に着色しているようだが、これら一つ一つがタイタンの大地に潤いをもたらす液体の湖であると思うと感慨深い。しかし湖があるということは、当然ながらそこに液体を供給する川があって、川の流れは空から降ってきた雫が集まったものと考えるのが自然だ。地球で大気中の水が雨となって降り、川となって流れ、湖や海から蒸発してまた空に還っていくように、タイタンではメタンの雨が川を作り湖に注ぎ、そして湖から蒸発していく大気循環が形成されているのだろうか。
メタンで満たされたタイタンでは、周囲の景色はオレンジの靄がかかったような色に見えるという。もしもタイタンの湖畔に降り立つことができたなら、オレンジ色の霧の向こうに果てしなく広がる湖が見えることだろう。それはもしかしたら地球のどこかとよく似た眺めなのかもしれない。しかしその光景を構成する全てのもの、オレンジの霞も遙かにかすみ茫漠たる液体を湛えた湖も、地球とは全く異なる組成で成り立っているのである。いやほんと、死ぬ前に一度見てみたいもんである。
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