本日早朝、水星の太陽面通過という現象があった。
今回の現象は日本近辺のごく限られた地域でしか見ることが出来なかったが、ありがたいことに現在はネットでその様子を追体験することが出来るのであった。で、その模様がこれ。
灼熱の太陽表面を滑るように移動する黒いシルエット。この黒い丸は、地球から遠く離れ、太陽の周りを 88 日周期でぐるぐると回る我らが兄弟惑星の水星であり、煮えたぎる赤道地帯と極寒の南北極を持つ変てこな星であり、そして今、厳格な力学と時間の偶然によって、地球から見て太陽の表面をするすると移動する様を見ることができたのである。
そしてその模様を見事な高画質で観測したのが、日本が世界に誇る太陽観測衛星「ひので」。「ひので」は純粋な学術観測のために極限までその性能を追求した衛星だけど、それは学問のためだけではなく、ここまで人を感動させる美しい映像を撮影する能力がある。「今まで見たことのないものを見てみたい」という欲求は科学を強力に推進させるドライバとなり、そしてその結果は遍く人々の心を打つ「作品」になるのである。いやもうほんと、素晴らしいじゃありませんか。
こういう良いものを見せてもらうと、出来る限り長生きしてもっと凄いものを見てみたいと思います。
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