先月のアクロポリス・ラリーで前半戦を終えた今シーズンの WRC(世界ラリー選手権)。これまでの戦績は、今年もまたセバスチャン・ローブ(シトロエン)が圧倒的な速さでドライバーズ・ポイントの首位を独走しており、それにフォードに移籍したマーカス・グロンホルムが続くという展開である。「三頭政治」の一角のはずだったペター・ソルベルグ(スバル)の不振(と不運)は未だ続いているものの、これまでのところは大体予想通りというところか。
それにしても、今シーズンが始まる前にプジョーと三菱が撤退し、それに伴うドライバーシートの激減などが勃発。有力ドライバーがことごとくシート落ちする状況で、こんなんじゃ今年の WRC は一体どうなることかと思っていた。しかしいざ始まってみればダニエル・ソルド(シトロエン)、ミッコ・ヒルボネン(フォード)ら若手ドライバーの台頭がシーンを盛り上げ、さらにベテラン勢も負けじと意地を見せる。WRC を取り巻く環境は依然厳しいものの、熱い全開バトルは今年も健在であった。いろいろ面倒なやっかいごとはあるものの、WRC サーカスはこうしてまだまだ続いていくわけである。
そんな中、以前から WRC の世界で戦い、名実ともに日本人国際ラリードライバーの第一人者である新井敏弘が、今年 9 月 1 日~ 3 日に北海道・十勝管内で開催される WRC 第 11 戦「ラリージャパン」に、スバルのワークスマシン「インプレッサWRC 2006」で出場することが決定したとのこと。いや素晴らしいじゃありませんか。
■新井敏弘、ワールドラリーカーで表彰台を狙う
■Arai to drive World Rally car at Rally Japan
ちなみに新井さんは昨年の PCWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)で見事にシリーズ優勝。FIA(国際自動車連盟)認定の、史上初の日本人世界チャンピオンである。これがどんなに凄いことか。だって FIA が認定するレースカテゴリとしては F1 と WRC しかないのですぜ。その天才ドライバー達がコンマ秒差のしのぎを削るトップカテゴリで、日本人として初めての世界チャンプですぜよ。サッカーでたかがワールドカップ本戦に出場しただけとはわけが違います。しかし悲しいかな、未だ WRC は日本ではマイナーモータースポーツでしかない。この偉業はもっともっと世に知らしめてしかるべきだと思うが、これもまた現実ですかね。
それはともかく、日本人チャンプが日本メーカのワークスからバリバリのワークスマシンでラリージャパンに参加である。公道を走らせたら間違いなく日本一速い男が、ワークスマシンに乗って北海道の大地を走りまくるわけである。ここは一発地の利を生かし、ローブもグロンホルムもソルベルグも蹴散らして、表彰台の一番上に立ってほしい。いやほんと、冗談抜きで可能性は十分あると思います。
ちなみに新井さんと私は同い年。同世代のおっさんとしても応援してます。
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