日本を離れて異国の地に暮らして、早くももうすぐ一年。苦労することは何かと多いが、それを補って余りあるほどの良かったことは多い。その良かったことの一つに、現在ドイツで開催中のサッカー・ワールドカップの狂騒に巻き込まれないで済むということである。
正直言ってサッカーには全く興味がない。もちろん競技としてのサッカーは好きだし、今や全然やる機会もないが、体育の時間のサッカーは大好きだった。興味がないのは J リーグやら日本代表やらの動向やら行く末である。どこが勝とうが負けようが、そしてワールドカップに出場しようがしまいが、本当にどうでもいい。どうでもいいならどうだっていいわけだが、しかしこれがどうしたってどうにもならないのである。テレビをつければどこもかしこもサッカーサッカー、新聞の見出しもサッカーサッカー、人の話題もサッカーサッカー。見たくも聞きたくもないのに、向こうから勝手に私の生活に土足で入り込んでくる。それが我慢ならない。
四年前の時なぞ正に最低最悪だった。予選敗退でもなんでもいいからとっとと日本が負けて、一日も早くこの狂騒から逃れたい。心の底から思ったものである。私は思う。お願いだから二度と日本でワールドカップなぞやらんでほしい。来年の総選挙で、もし「ワールドカップ日本開催永久禁止」をマニフェストとして掲げる政党があらわれたら、俺は間違いなくそこに投票する。選挙には間違いなく負けるだろうが。
そして今は北京である。日本のテレビは NHKワールドプレミアムしかなく、新聞雑誌の類もない。人口に上がるほど、周りに日本人もいない。せいぜいネットのニュースサイトにサッカー関連の記事が増えるぐらいで、そういう記事は見なければいいだけ。いつも巡回する日記や雑文サイトも、管理人が私と同じメンタリティの持ち主なのか、どこもほとんどサッカーの話題には触れていない。きっと日本は今頃、四年前以上の気が狂わんばかりのクソやかましいことになっていると思うが、それらに全く干渉されることなく静かにいつも通りの生活を送ることが出来るわけである。素晴らしいではないか。いやほんと、心底清々してますよ私は。
ちなみに中国ではサッカーは非常に人気がある。実際に自分でもサッカーをやっている人は多く、街中のグラウンドなどでもサッカーに興じる姿をよく見かける。またヨーロッパのプロリーグのテレビ中継はしょっちゅう放送されているし、新聞のスポーツ面でサッカーの話題が出ない日はない。当然今回のワールドカップもテレビ中継されることになっており、私の会社の同僚のサッカーファンなども「徹夜でテレビを見ますよ!」と息巻いている。それだけ人気がありワールドカップの認知度も高いが、しかしやはり自国が出場していないせいか、今一つ盛り上がりに欠けるような気がする。まあこれで出場していた日には、どこぞの半島の国以上の熱狂になるのかもしれないが。
ということでワールドカップの狂騒から一歩離れ、日本が勝とうが負けようが、私の生活にほとんど影響をもたらすことのない環境で、静かに暮らす僥倖にあずかる私である。まあ人が楽しんでいることに門外漢があれこれ口を出すのは無粋ではあるけれど、でも鬱陶しいから日本がさっさと負けてくれれば、さらに幸せになれる気がする。
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