宇宙航空研究開発機構 JAXA の発表によると、昨年末のイトカワ離陸後の姿勢喪失以来交信が途絶していた探査機「はやぶさ」との通信がついに復旧、3 月 6 日には三カ月ぶりの軌道推定に成功したとのこと。
通信途絶から 一ヶ月半後の 1 月 23 日に「はやぶさ」からのビーコンを再受信、26 日以降には「はやぶさ」に内蔵されている自律診断機能からレスポンスが返るようになり現状が明らかになって来たとのこと。しかし姿勢を失った際に太陽電池発生電力が極端に低下して一旦は電源が完全にシャットダウンされたことが推定され、さらに化学エンジンの燃料・酸化剤とも漏洩による喪失、3軸姿勢制御スタートラッカ、姿勢軌道制御コンピュータ、イオンエンジンの各動作状態が確認できず、またリチウムイオンバッテリが過放電状態となりバッテリ中の一部のセルが準短絡になるなど、現在はイオンエンジン用のキセノンガス噴射による応急処置的な姿勢制御で 32bps の通信が可能になったものの、依然として非常に厳しい状況であることが確認された。
今後はヒータで温度を上昇させ、機体内に残留している可能性のある燃料・酸化剤を追い出す「ベーキング」を数か月かけておこない、可能であるならば今年後半から来年はじめにイオンエンジンを本格稼働させて、引き続き 2010 年 6 月の帰還を目指すとしている。
推定された軌道によると、3 月 6 日時点での「はやぶさ」は小惑星イトカワから約 13,000km、相対速度 3m/秒で飛行を続けており、太陽から約 1 億 9,000 万 km、地球から約 3 億 3,000 万 km の距離にある。想像も出来ないほど遠い宇宙のはるか彼方で、一人(一機)満身創痍の体を抱えながら地球へ帰ることだけを夢見て必死に努力を続けている「はやぶさ」の姿を想像するだけで涙が出てくる。なんとかこの絶望的な状況を打ち破って、四年後の地球帰還、そしてサンプルリターンという偉業を達成してほしい。ちなみにこちらの Flash も必見。
イスカンダルから帰ってくる宇宙戦艦ヤマトを待つ地球人の気持ちが、少しだけ分かったような気がします。
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