この土日は、中国人新卒大学生向けの日本企業合同就職説明会に出席。この説明会は昨年から始まり今年で二回目だそうだが、北京はもとより北部、南部の省、はては日本に留学中の学生ら約 1,000 人が集まるという、なかなか盛大なもの。中国では最近は欧米の有名企業に人気が集まりつつあるとはいえ、日本企業もまだまだ就職先としてそれなりに人気があるらしい。
今回、私を雇用する北京の会社は開発部門と生産技術部門の人材を募集した。経済発展が著しい中国では、この手の理系の人材は日本以上に人手不足らしく、なかなか良い人間を採用できないと聞く。実際、私を雇用する会社も、私が北京に来てからこれまで約九ヶ月、いろいろな方面に働きかけて人材を募ってきたが、思ったほどに巡り合わせがない。今回も会期中、二日間で延べ 100 人ほどの学生と面接したが、その中でまずまずイケそうと思ったのは 7~8 名か。彼ら彼女らとは後日もう一度正式に面接をして、その中から選ぶことになるが、果たしてどうなることか。
そういえば今回面接した中で印象深かったのが、山東省出身の女子学生である。彼女は地元の大学で数学を専攻し、優秀な成績で卒業した後、北京理工大学(かなり優秀)の修士課程に進んだ。北京では得意の数学を生かして流体解析系の研究に勤しみ、爆発物の飛散経路の詳細解析を主題としてマスタ論文を書き上げる。その論文は学内外でも高い評価を得たそうだ。どこからどう見ても見事なまでの才媛である。
そんな才女であればどこぞの大学に転籍でもして研究者としての道を進むか、あるいは就職するにしても欧米の有名企業や国営の重厚長大企業でもどこでも引く手あまたなのではないか。しかし彼女はどうしても北京で働きたいという。もし働き口があるのなら、私を雇用する会社の職種であれば、開発でも生産技術でも、いっそ製造現場のワーカーでも構わないとまでいう。なぜそこまで北京にこだわるのか。
よくよく話を聞いてみるとこうである。現在付き合っている恋人が最近北京市内に家を購入。ゆくゆくは結婚するとなれば、当然北京に根を下ろすことになる。そうなると就職するにしても学究の道を進むにしても、どうしても北京でなければダメ。しかし大学方面や企業をいろいろ当たってみたが、どうも芳しい成果が得られない。どうしたものかと悩んでいたところに今回の就職説明会の話を聞き、藁にもすがる思いでやってきたそうである。ううむ。
確かに才媛で能力もあり、今後のポテンシャルも相当高そうだ。彼女のスキルをもってすれば、少し鍛えるだけで即戦力として力を発揮してくれることだろう。しかし、もし恋人と別れることにでもなったりしたら、せっかく入ってもらったのにすぐに辞めてしまうことになるやもしれない。能力は高く買うけれど、こういうバックグラウンドでは雇う側としては甚だ困るわけである。とりあえずもう一度正式に面接してみることにはなったが、個人的にはちょっとどうかと思う昨今。
--
さて、明日から日本へ出張である。二週間あまりあちこち駆けずり回った昨年末ほどではないが、今回も約十日間ほどとそれなりの長さ。内容もそこそこヘヴィかつタイトなことになりそうで、特にメインのタスクは上手くいくか失敗するか、今のところ微妙な情勢。などと呑気なことを言ってるが、金も時間もかけてわざわざ日本に行くので、是が非でも成功させないと北京に帰れなくなるやもしれない。ま、それはさておき、もちろん仕事は頑張ってこなすとして、せっかく久しぶりに日本に帰るのである。せめて合間に美味い日本食でも喰いたいものですな。
と、ここまで書いてふと頭に浮かんだのがトンカツである。そういえば長いことトンカツも喰ってないな。どこか美味いところってあったっけ。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。