メディアの報道によると、2008 年の北京五輪開催に向け、市民の公共衛生意識を高めるための活動の一環として、路上の「たん吐き」の取り締まりを強化するとのこと。
北京市では現在、路上の「たん吐き」を“公的”には禁止しており、20-50 元(約 3,000~7,500 円)の罰金を科している。しかし違反する人があまりに多い上に、罰金を支払わない人がいるため、効果が現れていないのが現状。北京市では「たん吐き禁止」を明記したゴミ箱を市内の主要道路脇や公共場所に設置するほか、一部には「たん吐き袋」を用意。吐いたたんを紙に包んでゴミ箱に捨てる、もしくは袋にたんを吐くのが「文明的だ」と市民に呼びかけるという。また違反者が罰金を払わない場合は、本人に清掃用具を渡して、たんを吐いた周囲を掃除させることも考慮しているそうだ。
実際のところ、北京では「たん吐き」は非常に多い。というよりも、日常生活を送る上での普通の行為として認識されており、老若男女誰も彼もところ構わず吐いているのが現状だ。しかも路上は言うに及ばず、デパートやバス、電車の車内などの公共施設の中はもちろん、はてはレストランの床にまで「ぺっ」と吐く光景が普通に見られる。私も北京に来た当初、道を歩いていて、前から来た年若い綺麗な身なりのお姉さんがいきなり「カーッ、ペッ!」と盛大に痰を吐いたのを目にした時には驚いたものだ。これが噂の「たん吐き」かと、ある意味感動したが、今や別になんとも思わない。私も大陸化が進んでいるのだろうか。
そういえば以前、中国人の同僚に「どうして皆、あんなに痰を吐きまくるのか」と聞いてみたことがある。同僚曰く、「北京は空気が乾燥していて埃っぽく、さらに大気汚染のためか、すぐに喉に痰が溜まってしまう。痰は体に入った悪い物を外に出してくれる働きをするので、溜まったらすぐに吐き出した方がいい」。それはそうかもしれないが、ところ構わず痰を吐くのは公衆衛生上好ましくないし、第一見た目も良くない。道に転々と落ちている痰を見て、汚いとは思わないのかと聞くと、「別に」との答え。ううむ。
まあ確かに公衆衛生の観点はもちろん、街の美観や、その行為自体の見た目の悪さから、「痰吐き」を少しでも改善していただきたいとは思う。しかしそれにはまず、「痰は不衛生」「痰は見た目が悪い」という意識を市民の間に植え付けなければ、ただ罰金を取るだけではなかなか改善しないのでは。北京五輪まであと二年。はたして「痰吐き」を撲滅することが出来るのか。生暖かく見守っていきたい。
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