ということで、昨日の大晦日は会社が終わった後に会社同僚のお宅に訪問。
ここのお宅は昨年社内結婚したばかりで、旦那、奥さんともに実は同僚なのだった。同僚宅には奥さんのお母さんも同居しており、さらに大晦日には近所に住む親戚もやって来て総勢で 10 人ほどの集まりとなった。なんでもその親戚のうち二人は現役のコックさん。彼らは我々日本人が来ると聞き、「日本人には新鮮な魚介類を出さないとコックの名が廃る」と妙に張り切り、朝一番で市場に買い出しに行ったりしたそうだ。ありがたいありがたい。
家に到着し、挨拶をすますと、すでに奥の台所では晩ご飯の仕込みが進行中であった。なにやら大量な料理が用意されている模様。
奥の部屋を除くと、中国の年越しには欠かせない餃子の仕込み中。もちろん皮から具まで全部手製である。餃子の仕込みは、皮の作成者と具を包み丸めていく者とに別れ、テキパキと進めていく。見ているうちにあっという間に大量の餃子が出来上がった。さすが現役コック。ちなみに古い年から新年になることを中国語で「交子(ジャオズ)」と言い、この発音が「餃子」と同じなので、餃子は日本の年越しそばのように縁起物として中国人の年越しには欠かせない食べ物になったという。
そして並べられた大量の料理の数々。定番蒸し海老、味付きの海老の炒め揚げ、豚モモ肉の煮込み、サーモンの刺身に自家製の腸詰。中国古来からの料理だというレンコンのもち米詰めや甘く煮た棗、くらげの冷製にイタリアンサラダなど。「乾杯」とともに一気にいただく。
どれも大変上手いのだが、やはり特筆すべきはこの山盛りの蟹だ。ほんの 15 分前まで生きていたという新鮮な渡り蟹を、ついさっき蒸したもの。旬を微妙に過ぎた頃合いで若干味は落ちると言うことだが、それでもまるでウニのように濃厚かつ味わい深い蟹味噌を喰うと、あまりに上手すぎて一瞬意識が飛ぶ。カニー!
たらふく喰ってお腹いっぱいになると、どこからともなく麻雀セットが運び込まれてくる。中国の麻雀は牌の種類は日本と同じながらルールはかなり違う。「上がり役」は七対一の他はほとんどなく、とりあえず面子が揃えば上がりとなる。しかもドラはいわゆる「ドラ」ではなくワイルドカード(どの牌にもなることが出来る)として使い、リーチも無く、ダマテンが基本。捨て牌も場に適当に捨てていくので、筋も何もさっぱり分からない。当然ながらフリテンも無し。なにやら麻雀というより限りなくポンジャンに近い気がするが、それでも始まると異常に盛り上がる。
夕方頃からすでに気の早い連中が花火や爆竹を打ち鳴らしていたが、夜も更け 23 時頃になると、いよいよおもてはそれらの炸裂する音が盛大に鳴り響き、もの凄いことになってきた。我々も防寒を固めて外に出る。ちなみに花火と爆竹はこんなのだ。
こちらは連発式の花火。花火というよりダイナマイトと呼称すべきその外観が素敵だ。
そしてこれが爆竹。100 連発タイプと 200 連発タイプがあって、こちらは後者。
家の外へ出ると、既に周りは大変な騒ぎとなっている。あちこちで爆竹が炸裂し、夜空には何十、何百という花火が絶え間なく打ち上がり、北京の空を赤や緑に染める。普段照明が少なくて幾分暗めな北京の夜だが、今日ばかりはまるで昼間のような明るさだ。それにしてもこの空に次々と打ち上がるロケット花火を見ていると、昔テレビで見た湾岸戦争を思い出す。まあ無政府状態なのは似たようなものか。
よーし、さっそくこちらもお祭りに参加だ。箱に山積みになった爆竹や花火に次々に着火していく。しかしこれがまた結構怖い。なにせこちらの花火は日本のものより火力が桁違いなのである。導火線に火を放つと、もの凄い勢いで燃え進み、あっという間に大音響と火炎を響かせて夜空へ上がっていく。火を付けてすぐに逃げないと危険だ。しかし中には花火を手に持ったまま火を付ける猛者もいる。絶対髪の毛が燃えてるぞ。
こうして迎えた中国での初めての年越し。日本の静かで厳かな年越しもいいが、こういうのもまた一興である。爆音と硝煙の匂いで迎えた戌年の今年、はたしてどんな年になるだろう。
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