中国ではいわゆるところの全国民規模の祝日というのがほとんどない。あるのはせいぜい元旦と春節(旧暦の正月)、国際労働節(メーデー)、それと国慶節(建国記念日)ぐらいなものである。一応これら以外にも国で定めた祝日はあるのだが、たとえば国際婦女節(3 月 8 日)は女性のみ、国際児童節(6 月 1 日)は児童のみ、中国人民解放軍建軍節(8 月 1 日)、教師節(9 月 10 日)は軍人と教師のみが適用であって、我々のような一般サラリーマンは関係がない。したがって基本的には休みの日は土日だけであり、どこぞのとぼけた島国のように「二週続けて三連休だキャッホー!」なんてことはありえないのである。くそ。
その代わりと言ってはなんだが、大型連休はいくつかの期間存在する。まずは旧暦の正月を祝う春節、国際労働節を中心としたいわゆる五月のゴールデンウィーク、それと建国を祝う国慶節は、概ね一週間程度の連休となる。それらの頃合いは全国土的に休みとなるので、都市に働きに来ている労働者が故郷に帰ったり、一般市民は国内旅行、ちょっと裕福な層になると海外に出かけたりと、どこぞのとぼけた島国でもかつてあったような一大民族移動のシーズンでもある。
そしてこの 10 月 1 日が国慶節。たいていの企業や学校は 10 月 1 日からほぼ一週間に渡って休みになる。
この時期、大陸は夏の地獄のような暑さも薄らぎ、寒さもまだそれほどでもない。また、春先のように黄砂に悩まされることもない。正に絶好の行楽日和である。それを当て込んでか、新聞やネットにはツアー旅行の広告が満載されている。ほとんどは中国国内の旅行だが、中には一週間で七つの都市を回るツアーや、一人あたり 4,000 元(約 55,000 円)もするものもあったりして(中国の平均所得からすれば相当な額)、広告を見ているだけでもなかなか面白い。しかし一週間で七都市って、ほとんど移動するだけじゃないのかそれは。
私を雇用する北京の会社もご多分に漏れず一週間の休みになる。なんだかこんな時期にこんなに長く休みになるなんて不思議な感じだが、普段の休みが少ない分、こういう長期の休みは貴重である。ありがたく休まさせていただこうと思う。
で、せっかくの長期の休みだし、どこかに旅行でも行くかと考えた。しかし中国国内はどこに行っても混みそうだ。いっそどこぞのとぼけた島国に帰って、連休明けでガラ空きの温泉にでも行ってまったりと優越感に浸るのもいいかも。だがそれもなんとなく芸がない。かと言って北京でウダウダしているのももったいない気もする。
ということで逡巡の末、今回は無難(かどうかはわからないが)に海外に行ってみることにした。どこに行くか。そんなのは決まっている。埃っぽい大陸のど真ん中で長いこと暮らしていると、自ずと行きたいところは定まるのである。目指すは数千 km 彼方の別天地。もちろん方向は南である。場所は島である。あるのは海である。降りそそぐのは太陽である。うほー。みーなーみーのーしーまー。国慶節ばんざーい。
問題は来週からの一週間の休みのために、今のうちにやっておくことが山積みであるということだ。正直、全然終わっていない。ほんとに休めるのか私は。
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