今日は会社の同僚の結婚披露パーティーに出席。会社の同僚と言ってももちろん中国人で、私の通訳をやってくれている人。奥さんも会社の同僚で、要するに社内結婚である。本日はその会社内外の人たちを集めての内輪のパーティーだ。ちなみに中国でも日本と同様に、本来であれば正式な結婚式と披露宴を執り行うのが普通だそうだが、新郎のお母さんが最近亡くなった関係上、喪中ということで内々の披露パーティーだけを行うということだ。当然ながら中国に来てこういうパーティーに出るのは初めて。いったいどんなことになるのか、会場である北京市内のホテルへ赴いた。
ところでこの手のパーティーには何を着ていけばいいのか。事前に普段着でも全然構わないと聞いていたのでスーツはやめてジーンズとブーツにおいたが、しかしさすがに上は T シャツではまずかろうと思い、とりあえず普通の綿シャツにしてみた。だが他の同僚達の格好は、女性はさすがにいつもよりも若干ドレスアップしているものの、野郎どもは正に T シャツ、ジーンズの普段着そのまま。中にはまるで「近所のスーパーに買い物に行った帰り道に寄りました」という趣の短パンにサンダル履きの者もいる。中国のパーティーはラフだとは聞いていたが、内々の宴会とは言えここまでカジュアルだったとは。ちなみにさすがに新郎はスーツにネクタイ、新婦は白いドレスで登場。
丸テーブルの中国式宴会会場でパーティーはスタート。料理はもちろん中華料理で、あとからあとから料理が運ばれてくる。なんでも山東省系の宮廷料理らしく、北京料理ほどコッテリでもなく、かといって辛くもなく甘くもなく日本人の舌には良く合う味付けでどんどん箸が進む。
と飯を喰っているだけが中国の宴会ではない。飯あるところに酒があり。それも中国北方の乾杯用の酒といえば言わずとしれた「白酒(バイジョウ)」である。白酒は泡盛やテキーラなどと同じ蒸留酒の一種で、独特の香りと、そして強烈なアルコール度で有名な酒だ。今日出た白酒はアルコール度は36度と幾分低めだが、それでも一気にあおると胃に火がつきそうな勢いである。
実は私は過去、この白酒で非常に苦い思い出があり、それ以来すっかり体が受け付けないのだった。この独特の匂いを嗅ぐだけであの時の凄惨な光景がフラッシュバックし、胃液が逆流しそうになる。嫌な意味でのパブロフの犬状態である。
だが今日は宴会である。めでたい席である。しかも私が北京の会社に来て、会社をあげての初めての宴会である。飲めませんでは済むわけがない。さらに私はこれでも会社内ではそれなりの地位の人間。挨拶がてら会社の人間が代わる代わるやって来やがる。立場上、飲まないわけにはいかない。「乾杯」と言ったら飲みきらなくてはならない。「あんたが飲み干さないと俺は席に戻れない」とかほざく。ちきしょー。仕方がないから飲む。泣きながら飲む。こみ上げる胃液を押し戻すようにして飲む。もう俺は金輪際白酒なんて飲むもんかばかやろー、と(日本語で)毒づきながら飲む。飲む飲む飲む。うがーっ。
夕方ごろ、なんとか生きて帰ってきた。が、胃が痛い。穴が開いたのではないかと思うぐらい鈍く痛い。パーティー自体は大変楽しかったが、なにせあの白酒攻撃だけは耐えられない。自分の息が白酒臭くて嫌になる。うえ。
そういえば今度、取引先の会社の担当者を集めて講習会を開くと聞いた。夜は当然ながら大宴会。もちろん白酒は避けて通れない。しかもその時はこちらがホストなので、今回以上の乾杯漬けは必至だ。上司に「そのイベント、休んでいいですか」と聞いたら「ダメ」と即答された。私に死ねと言うのか。
誰か白酒が美味しく飲めるようになる魔法の呪文を知りませんか。
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