北京の夏は暑い。今の季節は気温が 40℃ 近くまで上昇することもさほど珍しいことではない。しかし気温的には高温ではあるものの、空気が乾燥しているので蒸し暑さはあまり感じないそうである。私が北京にやって来た今月上旬はまさにこんな感じの気候だったのだ。ところがここ一週間ほどの北京は猛烈に蒸し暑い。気温は 32~33℃ 前後であるものの湿気が非常に高く、まるで東京の真夏のような蒸し風呂級の暑さである。
同僚によると「異常気象だ」とのこと。まあ今の地球上では何が異常で何が正常な気象なのかよくわからないが、とにかく異常だ異常だと汗をかきかき連呼する同僚。しかしこの異常気象、原因は自然のものではなく、なんと人工雨のせいだというのが同僚の分析である。なんでも「中国上空の雲にミサイルを撃ち込んで人工雨を降らせている。そのおかげで雨が降るのはいいが、余計な湿気も増えてしまった」というのだ。
北京を含む中国北部は例年小雨に悩んでおり、水不足は深刻化どころか危機的な状況にある。それを打破すべく数年前から雲にミサイルを撃ち込み、人工雨を降らせる実験は行われている(リンク)。また降雨によって気温を下げ、これまた危機的な状況にある電力需要を少しでも少なくする目的もあるようだ。確かにこの人工降雨はそれなりの実績を上げているようで、それなりの降雨量により北京市周辺の水不足解消に一役買っているらしい。またもう一つの思惑通り気温も若干ではあるが低下方向にあるとのこと。中国の軍備も、アメリカや台湾、そして日本を威嚇するだけが能ではないというわけか。って、こんなことを書くと公安に目をつけられたりして。
ただこの人工降雨作戦が同僚の言うようなこの湿気の原因であるかは何とも言えないような気がする。空に向けて大規模にミサイルをぶっ放すならまだしも、水源近辺にポンポンと打つだけで、北京市をすっぽり覆うような広範囲に渡る雲を作り出すことができるのだろうか。
ちなみに報道によると、昨日の電力使用量は史上最高になったとのこと。この蒸し暑さで市民の誰もがクーラーを全開にした結果であろう。このままこの暑さが続くと、最悪の場合停電も余儀なくされる恐れがあるそうである。別の報道では、かなり多くの企業が「高温休暇」と言う名目で一週間休んでいるようでもある。これも電力事情を少しでも減らそうとする苦肉の策ではあるが、これもこのまま続くと経済状況にも悪影響を及ぼしかねない。仮に同僚の言うように本当に人工降雨のせいで蒸し暑くなったのだとすると、水はあっても今度は電気がないという、なんとも皮肉な結果となってしまったわけだが、はたしてどうか。
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