北京にはバスの路線が網の目のように網羅されていて、北京市民の日常の足として利用されている。また路線は少ないながらも地下鉄があり、市内を移動するときはそれなりに便利である。しかし北京初心者にはまだバスに乗るには若干の修行がいるし、地下鉄も東京などと違って市内の隅々まで路線がカバーされているわけではない。そのためどこかちょっと遠くまでの足をのばすとなると、最も利用するのはタクシーである。
北京の中心部にはたくさんのタクシーが走っている。最近では現代(ヒュンダイ)製「ソナタ」タイプの新しいタクシーが徐々に導入しつつあるが、街中で一番多く走っているのはシトロエン製。真っ赤なボディが街中で良く目立つ。流しでもたくさん走っているし、またちょっとしたデパートや人が集まるビル、マンションエントランスなどで客待ちしているので、どこに行っても簡単に捕まえることが出来る。
北京のタクシーはかなり年季の入った古くて汚れた車がほとんどだが、なによりも魅力的なのは料金がとても安いこと。なにせ初乗り運賃は、たったの 10 元(約 130 円)。先日、北京市北部にある家具屋の IKEYAから市の東南にある我が家までタクシーに乗った時の料金はたしか 27 元だったか。距離にすると 10km はあったはず。これが東京なら中野あたりから銀座まで乗って、約 400 円ぐらいということになる。初乗り料金以下である。
ちなみに日本と違って一人で乗るときには助手席に座るのがマナーだ。運転席との間には防犯のための柵が設けてある車が多く、運転手と隣あわせに座ってもあまり気まずくはない。ただやっぱりこの柵、なんとなくこちらが檻で囲まれているような感じがして、あまり気持ちのいいものではない。また自動ドアではないので、自分でドアをあけて乗り込む。以前北京に出張に来て一人でタクシーに乗った時に、つい癖でドアが開くのをボケッと待っていたら運転手に怒られた記憶がある。
と、料金の安いのはいいが、問題なのはやはり運転手とのやりとりである。発音が悪いと中国語で行き先を説明してもほとんど通じない。何度言ってもわかってもらえず、最終的には地図上で位置を指さして説明するなんてことはしょっちゅうである。一応自分ではそれなりの発音で言っているつもりなのだが、中国語特有の四声とイントネーションを正しく使い分けないと通じない。また運転手の多くは北京出身者だからか、北京訛り特有の巻き舌が多くて大変聞き取りにくい。まあこれが綺麗な普通話で話しかけられたところで、今の私の中国語スキルでは半分も理解できないかもしれないが。
何度かタクシーに乗って、一応はだいぶ慣れてきた。これでもう少し街の様子や地理に慣れてきたらバスにも挑戦したいところ。だがバスはなにせ本数が多くて一体どのバスがどこまで行くのか今ひとつわからんし、いつも満員状態でちょっと乗るのはためらわれる。噂によるとスリも多いらしい。とりあえずバスはもう少し後か。しばらくはタクシーで北京をあちこちうろつくことになりそうである。
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